レジェンド芸人たちが語る松本人志【内村・紳助・さんま・志村けん・とんねるず】

小籔千豊の面白いエピソードトーク、毒舌、名言まとめ37選【ピザ奉行】

勘だけはええな

人物を撮るときは逆光で撮るのが基本、と教える小藪に宮迫らが驚く。

宮迫:逆光はアカンと思ってたよ。みんな思ってたよね?

善し:これはホンマそうです。

小藪:ベタですよね。(カメラかじってる芸人たちに)…知ってましたか?

宮迫:全員知ってました?

品川:答えたくないです。

小藪:「答えたくない」ってなんや?

品川:知ってても、知ってなくても、怒られそうだから(笑)

小藪:ようわかっとんな。勘だけはええな、こいつ。

全員:(笑)

引用元:『アメトーーク カメラかじってる芸人』2013年2月14日放送回

そうやってやめていく

カメラ好きあるあるを小藪が披露する。

蛍原:カメラ好きならではのあるあるを、みなさん教えてください。

小藪:だいたいですね、「わたしカメラやりたいんです」とか「教えてください」みたいなことを言うてきて、「これから絶対勉強します」「そうなん? とりあえずシャッタースピードと絞りを説明しよか」言うて、だいたい半分ぐらい過ぎてきたら、「もう、ええねん」ていう顔される、っていう(笑)聞きたい言うてきたのに。説明しだしたら「もうええねん。わたしもうムリです」みたいな顔して。そうやってカメラやめていきますね、みなさん。

全員:(笑)

善し:芸人でも、結構小藪君に訊きに行くんですよ。で、ホントにボロクソに言われて、みんなカメラ辞めていくんですよ。残ったの僕だけなんです。

全員:(笑)

蛍原:そうなんや(笑)

品川:すでにこれ(カメラ)ぶら下げてテレビに映ってるの、恥ずかしいですもん(笑)

引用元:『アメトーーク カメラかじってる芸人』2013年2月14日放送回

怖くて、無視しました。

前田健が持ってきているカメラを小藪が褒め、「持っているもので本気度がわかる」と解説しだすと、スタッフから「品川、小藪を止めて」というカンペが出される。

小藪:前田さんはホントにいいですよね。持ってるモンで、この人本気かな、どうかな、とかわかるんですよ。(前田のカメラを指して)たしかにこのボディはお金かかってないかもしれないですけど、このレンズを付けてる時点で「あ、ちゃんとやってはるな」っていう感じがちゃんとありましたもん。

宮迫:へぇ~。

小藪:(善しのカメラを指して)こんなもんね、オシャレぶって、モテたいだけなんですよ。このカメラははっきり言うて「重たいのがやだ~。わかんな~い。でも一眼レフがほしい~」っていう人たちの要望に応えた、オリンパスさんの努力の賜物なんですよ。

蛍原:うん。そうや。

小藪:だから、ヌルいこと言うとんすわ。こいつはミニクーパー乗りながら「山、せめてますねん」て言うんですよ。「黙っとけ、おまえは」ってなるでしょ。

全員:(笑)

蛍原:今は、あるあるのコーナーです(笑)

小藪:これ、あるあるです。

有野:イライラです(笑)

蛍原:イライラはやめてください(笑)あるあるをお願いします。

品川:…初めて、カンペを無視しました。「小藪を止めて」っていうカンペを、怖くて、無視しました。

全員:(笑)

品川:「品川」って出たけど、僕、静かに首を振りました。40になって、冗談で怒られたくないんですよ(笑)

引用元:『アメトーーク カメラかじってる芸人』2013年2月14日放送回

大切なものから撮ってください

小藪:ホントねぇ、カメラ好きっていうのは、僕いちばん言いたいのは「イキらんといてほしい」っていうことなんですよ。

蛍原:言うねぇ今日は、「イキる」って。

小藪:カメラぶら下げて街歩いてる、ベレー帽斜めに被ったような女、山ほどいてますやんか。そんなやつがだいたい撮ってんのって、空か猫、犬かオシャレなカフェのカプチーノを上から。絶対、これです。

全員:(笑)

宮迫:絶対かどうかは知りませんわ(笑)

小藪:あと、小っちゃいサボテンね。ブログにアップして、「わあ、すごい」。黙っとけ、おまえみたいなやつは!

蛍原:ええがな、べつに(笑)

トリンドル:でも、逆になにから撮り始めたらいいんですか?

小藪:友達とか、大切なものから撮ってください。家族、おじいさん、おばあさん。いつ死ぬかわかりません。生きてるあいだに撮ったりとかしてたら、30年後、それ見ただけで泣きますよ。

宮迫:ホンマやわ。

小藪:僕、草野球チームの写真、なんてことないです、草野球やってるときパッパパッパ撮ってたら、バッファロー吾郎Aさんの写真見て家でちょっと半泣きになりましたもん。

全員:(笑)

蛍原:なんでやねん、今でもおるがな(笑)

小藪:いや、そのとき初勝利して。僕ら1年半勝ったことなかったんですよ、草野球。1年半後、勝った瞬間、Aさん泣いたんですよ。やっと勝てた言うて泣いたときに、僕がヘラヘラ笑いながらパチパチ撮ったんですよ。泣くほどのことちゃいますやん、言うて。でも僕、10年ぐらい経ってパッと見たとき、ホンマひとりで部屋でウルッと。Aさんで泣くなんて、こんなことあります? みなさん。

全員:(笑)

引用元:『アメトーーク カメラかじってる芸人』2013年2月14日放送回

「欲どおしい」?

前田健のカメラ愛溢れるあるあるエピソードを、小藪が賞賛する。

小藪:素晴らしい。ホント、前田さんは素晴らしいです。前田さんだけイキっていいと思います。これから前田さんだけ、空・犬・猫・カプチーノ、撮っていいことにしましょう(笑)

有野:興味ないでしょ(笑)

蛍原:(あるあるエピソード)品川はどう?

品川:…ないです。

宮迫:ええっ1?

品川:…前田さんと一緒です(笑)

小藪:一緒ちゃうやろ、おまえ!! 持ってるレンズ全然ちゃうやんけ。おまえ、金持ちになってから買うたから、そんなプロが持ってるようなもん買うただけで、なんのポリシーもないようなやつがシャシャリ出るなよ!!

有野:イライラやめて(笑)

品川:シャシャリ出なかった結果、怒られた(笑)

蛍原:(カメラあるあるのエピソード)ないの?

品川:…いいカメラぶら下げて、知ったかぶりで写真撮ってると、小藪さんに怒られる、っていう(笑)気をつけろ、と。

全員:(笑)

小藪:ホンマに、前田さんは素晴らしいです。

品川:今、前田さん関係ないですよ。

小藪:へ? 関係ないですよって、なんやねん、もうひとくだり欲しいんか、おまえ。どんだけ前出たいの?

品川:カメラのことはいいですけど、前に出ることまで言われ出したら、僕はもうなんにもできないです(笑)

小藪:カメラ知らんわ、撮れ高欲どおしいわ、なんやおまえは!!

品川:「撮れ高ヨクどおしい」??(笑)

小藪:たしかにおれもようしゃべってるかわからんけど、他の方もあるかな思て黙ってんのに、なんやおまえ、ひとくだり、ふたくだりあったのにまだ欲しいんか!!

宮迫:なんやねん、欲どおしいって(笑)

品川:(小藪に)バカッ!!

全員:(笑)

品川:バカって言ってやりましたよ(笑)

引用元:『アメトーーク カメラかじってる芸人』2013年2月14日放送回

『プロフェッショナル 仕事の流儀』

NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に、吉本新喜劇の歴史を変えた座長として小藪が取り上げられる。毒舌タレントとしてバラエティ番組などに出演し、川谷絵音のバンドでドラムを叩き、ファッションモデルもやるなど多方面で活躍する小藪。しかしそれらすべては、新喜劇の広報活動のためだと、小藪は言い切る。

小藪:新喜劇を強くする。「劇場に観に行きたいです」みたいな人たちが増えることが、僕としては目標ですね。

新しい笑いを創り続ける

新喜劇の定番の型に頼らず、常に今までになかった笑いを求め続ける小藪がその想いを語る。

小藪:だって、いつ行ってもやること一緒やったら「また今度でええわ」ってなるんですよ。守りに入るから、新しいこと出来へんくて、「マンネリや」とか、言われるんですよ。

スベってもええ

小藪:スベってもええから前向いて倒れろ、と。過去の人たちがやってきたことで今定番になってることって、最初は逆風吹いたと思うんですよね。みんな頑張って新しい事やったから今があるとしたら、逆風怖がるってセコいですよね。僕が死んで100年後に「新喜劇学」を研究する大学の教授が出てきて、そのときに「小藪の乱は間違いだ」って言われるのか、「小藪は正しいことを言ってた」のか…。

タイガースとお笑いが好きだった少年時代

少年時代の小藪千豊は、阪神タイガースとお笑いが大好きな生粋の関西人だったという。

小藪:クラスでは130km、1番笑いを取りにいくエースの自信はありましたけど、プロは150kmを投げてるから、僕なんてそんな。おばあちゃんが堅いから、公務員というのは辞めた後もいっぱいお金貰えて、みたいな話を子供のときに聞いてたんで。「おまえ、警察署長とかなってみいや、お中元お歳暮山ほど来るぞ」言うて。

お笑いの世界に入ったきっかけ

高校2年のときに観たお笑いライブが、転機になったという。

小藪:バッファロー吾郎出てきて。すっごい面白いんですよ。やっぱ150km放ってる。すごいなプロは。全然ちゃうなあ、と。みんなが大学行く4年のあいだ、NSC(よしもとの養成所)入って、自分のお笑いのストレートがどこまで通用するか試そう、と。

ビリジアン

中学時代の同級生と組んだ漫才コンビ・ビリジアンは、1年目から頭角を現し、お笑いの賞を受賞するなど、すぐに芸人一本で食べていけるようになったという。

しかし、27歳の春に再び転機が訪れる。相方から「コンビを解散して放送作家になりたい」と告げられた。

小藪:僕がネタずっと書いてたんで。たしかに僕の三振も見てるでしょうけど、大ホームランも見てるはずやのに。そいつが「辞めるわ」っていうことは、おまえは金にならんと。おまえの才能では金にならん、と。心ポッキポキやったと思うんですよ。いちばん近いやつに「おもんない」って言われたみたいな感じがして。どこまでストレート通用するかと思って入って来たけど、やっぱおれって通用せんかったんやな、お笑いの世界。調子に乗って入らんかったら良かったな、と。

地獄

コンビ解散をきっかけに芸人引退も考えた小藪だったが、「新喜劇に出ないか」と声をかけられる。新喜劇は1年365日、毎日ステージがあり、お笑いの公務員みたいなものと思った小藪は、結婚を控えていたこともあり、新喜劇の世界に飛び込んだ。

しかし、ほとんどセリフのないチョイ役の扱いで、1回の出演でギャラは1,250円。アルバイトもしなければ食べていけなかったという。

小藪:なんやこれ? ってなって。ホンマ地獄でしたね。若い、年下のハタチぐらいの子らに敬語使ってハンバーグの作り方を教えてもらい、夜中の3時に家帰って、嫁はんが寝てるところに入って寝る。「よっしゃ見とけよ、嫁はん待っとけよ」と思ってるけど、セリフがひと言やったら、いつ誰がおれのことをおもろいと思ってくれんねん、と思って。よしもしの社員も、もうガン無視です。この距離で「おはようございます」って言っても、すーっとか。あれ? あっ、いかに落ちたか。すごい思いましたね。

修行

先の見えない日々でも小藪は、蜘蛛の糸を掴むような思いで劇場に通い、新喜劇の先輩たちの芸を必死に勉強したという。

小藪:池乃めだかさんとか、面白いなと思う人が、どうやってボケを変えているか。同じボケを、先週あの人言ってウケてんのに、今週言ってウケてない。なんでなんやろう、とか。どうやったらこの真っ暗闇から抜け出せれるんかと思って、質問したり、ブワーッ聞いてました。何人かの先輩に「うっとうしいな、おまえ」って言われたこともあるし。

大チャンス到来

新喜劇に入って9カ月経ったある日、先輩座員の川畑泰史が「アドリブでボケてええぞ」と言ってくれたという。

川畑:小藪君がね、面白かったので。この面白さをちょっとでも、ね。世間の前に、まず座員に知らせんと。「小藪君のために」とかいうより、この面白さをホンマに座員にまずは伝えんと、という気持ちが大きかったですね。

小藪:やっと来た! と思って。大チャンス。今まで頭ちょろっと出るだけやったのに、やっと大チャンス来たと思ったから。だから僕もう、台本の裏パンパンになるぐらいまでネタぶわー書いて。これハズしたら二度とお呼びかからんと思ったんで。しょうもないネタでしたけど、でもよかったというか。自分の中で。新喜劇入って初めてバンッとウケた記憶があるんですね。流れに沿った、ボケを入れようと。野村監督が「野球に不思議な負けなし」って言ったんですけど、「新喜劇に不思議にスベりなし」ですわ。スベってることには全部理由あります。

恩返し

次々と新喜劇で面白い役を任され、32歳という当時最年少で座長に就任し、37歳で『人志松本のすべらない話』の出演をきっかけに、東京での仕事も増えていく。周囲からは「座長を務めながら東京で成功した人はいない。新喜劇を辞めて、テレビ1本で稼いだらどうか」とも勧められたが、小藪は頑なに拒んだという。

小藪:みなさんにいろいろ教えていただいて、引き上げていただいて、生活させてもらってるので、受けた恩がデカすぎるっていうのもありますよね。命をもう1回もらったようなもんなので。

ビビり座長

新喜劇の台本は、構成作家らと打ち合わせをしながら作っていくが、何度打ち合わせを重ねても進捗状況は思わしくない。

小藪:他のことあんまビビらんすけど。新喜劇の台本作るのがいちばんビビるんすかねえ。

仕事は、楽しくなくてナンボ

小藪:「笑い」は絶対必要なこととは僕は全然思わないです。なくても生きていけるし、なくても生活できるし、なくても幸せになれると思います。でも、そんな仕事に就かせてもろてるから、申し訳ないなというか、頑張らなあかん部分があるというか。「楽しい」ってなんやねんって思ってこないですか? 楽しいですか、仕事?

――99%はつらいですね。

小藪:みんなたぶん、どのお仕事もそうだと思うんです。「楽しんで仕事してます」とかって言う人がテレビから流れてくるから、仕事って楽しまなあかんのかなって思うでしょうけど、僕はもう、ほとんどの人が楽しくなく、仕事してるんじゃないかと思うんですけどねえ。

期待を裏切る不安

新しい台本に斬新な展開を盛り込むことを決めたが、果たしてそれがお客さんにウケるのかどうか、不安を隠せない小藪。

小藪:期待に応えたいし、期待外れと思われるのはめっちゃ嫌ですから。ただ、期待外れと思われたくないくせに、期待を裏切る新喜劇をやろうとするんですわ。だからむちゃくちゃ迷うんすよね。

小藪の不安を覆し、斬新な展開の新喜劇で客席は爆笑の渦に。

小藪:まあ、チャレンジはできたんかな、というところは、自分の中では納得してますけど。たとえば、5年後とか10年後とかに、誰かがこのシステムを使ってたら、成功ってことですもんね。

プロフェッショナルとは?

小藪:ああ、これはこの人にしか出来へんな、みたいな。それがプロフェッショナルかなと思ってますけど。オンリー・ワン、みたいなことなんですかねえ。

 

引用元:『プロフェッショナル 仕事の流儀』2019年2月18日放送回