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千鳥 大悟とノブのプロフィールと、クセがすごいサクセスストーリー

2017年のテレビ出演本数337本、そして現在はレギュラー番組12本、CMは5本に出演中。テレビで見ない日はなく、現在最もスケジュールが取りにくいタレントと言われる千鳥。

38歳という、すでに若手とは言えない年齢にもかかわらず、女子中高生の愛読誌Seventeenの〈好きな芸人ランキング〉でも堂々の1位に輝いた、もはや「ブレイク」という言葉すら超えてしまった、社会現象のような売れ方をしている千鳥。

彼らはダウンタウン以来初めて、お笑い界で天下を獲った漫才師と言えるだろう。

しかしダウンタウンが二十代前半であっという間に売れたのに比べ、ここまでの千鳥の道のりは決して平坦ではなかった。彼らの面白さと才能は同業の芸人たちからは早くから認められていたにもかかわらず、なかなか世間に認知されるには至らなかった。

そんな彼らの少年時代、そして2人の出会いから、芸人としての下積み時代、大阪での活躍、東京での苦戦、そして現在のブレイクに至る、苦難から栄光への道のりを、本人たちの言葉を中心に辿ってみよう。

千鳥のプロフィールとヒストリー

北木島出身・千鳥 山本大悟のヒストリー

千鳥の大悟こと山本大悟は1980年3月25日、岡山県の、瀬戸内海に浮かぶ人口千人に満たない島、北木島で生まれた。

良質の花崗岩が採掘されることから、石材と漁業が主な産業となっていたこの島は、今や日本中の人が知る「千鳥大悟の島」としてすっかり有名になった。大悟の幼少時代のエピソードトークに度々登場するその北木島の自然豊かな風景と、テレビでも何度も紹介された大悟の実家を一目見てみたいと訪れるファンが後を絶たない。

大悟はそれについて少しだけ心配しながら語っている。

大悟:ありがたいことに大悟のファンや言うて、島観光に来る人が結構多いんですよ。なにを考えてるのか、島の船のフェリーの中に、うちの親父の電話番号がなんか載せられてしまってるんですよ。わしのファンという方が港に着いたら、みんなうちの親父に電話して、うちの親父が送迎みたいな、バンで迎えに行って、家まで連れて来て。

やめえって言ってるのに「そんな断れるわけなかろうが」って言って、うちのおかあが家にも入れたりするんですよ。そんな家に入れてなにをすることがあるんやって言うたら、「することがないけんのう、ティッシュと爪楊枝でみんなで人形を作るんじゃ」って。最後の遊びやないかと。地球の最後の遊びやと(笑)(『超踊る!さんま御殿!!』)

大悟はこの北木島で、同級生がたった6人しかいない学校に通い、海岸の岩場を駆け回り、釣りをしたり、海に潜って魚や貝を獲ったり、ケンカもしたりしながら自然児のように少年時代を過ごした。

北木島時代のすべらないエピソード

その北木島の少年時代の話は千鳥の漫才や、トーク番組で披露するエピソードとして、鉄板ネタになっていく。

大悟:小学校の生徒の数が6人ぐらいしかおらんので、少なすぎてリレーなんかできない。おじいちゃんおばあちゃんにも参加してもらうんですけど、子供のほうが足が速いじゃないですか。だから、途中でアジを3枚におろすっていう、謎の障害物があるんですよ。

「よーいドン」で子供がリードするじゃないですか。おばあちゃんは歩いとるようなもんですよ。でもアジのサバき競争があるんで、おばあちゃんがスーッとサバくわけです。そこでおばあちゃんがリードして、ゴールで競る、っていう(笑)(『志村の夜』)

大悟:島にはビルが無いんですね。だからエレベーターが無いんですよ。小学校6年の時に同級生6人で、修学旅行で初めて大阪・奈良・京都に行って。いろんなもん見んとあかんのに、6人ともホテルのエレベーターに興奮してもうて、ずーっとエレベーター乗ってて(笑)扉が開いて、中入って、扉が開いて、出てきたら違う階。なんなんこれ!(笑)(『踊るさんま御殿』)

大悟:わしが小学校5年のときに、6年のやつとケンカするってなって。埋立地があって、わしが上って行った瞬間に、その6年の男の周りで爆竹がバババババッって鳴って、そいつが釣り竿の先にヘビのアオダイショウを突き刺して、ブンブン回しててん。「これ6年の演出!?」と思って(笑)(『イッテンモノ』)

大悟:子供の頃から、食べるもんも、ほぼ自分で獲ってましたから。夜、真っ暗なんですよ島は。その真っ暗な中で親父が岩場で懐中電灯で照らしてるんですよ。この灯りだけを頼りに、僕が真っ暗な海の中に入っていくんですよ。

水の中の懐中電灯の光なんて小っちゃなもんで、そん中で魚とかサザエを獲りに行くんですよ。一回これマジなんですけど、寝てるボラが、僕に当たってきたんですよ。いやホンマに、わしがこうやって魚探してたら後ろからコツーンて突かれて、パッと見たらボラで。ボラがマジで二度見したんですよ。

ノブ:するか!そんなもん(笑)なんかファンタジーみたいな話が多いんですよ、とにかく。なんか大悟は魚に助けられたこともあるって…。

大悟:これもだからホンマなんですけど、島なんでもう物心ついたときから泳げてたんですね。泳ぐ練習なんかしたことなくて、ふつうに泳げてたんです。それが小学校2年生の時に、普通に海でわーっと泳いでたら、足がつったんですよ。「これが溺れるって感覚なんや」って沈みかけたときに、大きめのヒラメに助けてもらったんですよ。

ノブ:そんなわけないやん(笑)

大悟:バーッて沈んだときに、僕がヒラメを踏んだら、ヒラメがびっくりして、僕を陸のほうに「ちょん」と(笑)

ノブ:気のせいや(笑)

大悟:助かったんです。いま僕がここに座れてるのは、その大きめのヒラメのおかげです。(『志村けんのバカ殿様 家族揃って初笑いSP』)

大悟:子供のころ、毎日のように魚を釣るわけですよ。遊ぶものが無いんで。でも魚なんてすぐ釣れちゃうんすよ。もう飽きてくるんすよ、魚釣ることに。なんなんだ、この、生きてるものを毎日ムダに釣っているって(笑)だからもう、「魚釣らんでもいいんじゃね?」ってなるんすよ。針にもうエサもつけない、針もつけない、糸の先に鉛だけをつけて、沖にズワーッ投げるわけですよ、小学生の僕が。

沖に沈むのを待って、そっから目をつぶってね。鉛をゆーっくり転がして、地球の底を感じるんですよ。これが、「鉛ヒキズリー」(笑)

海の底って見えないでしょ。海の底ってどうなってるやろって考えたことないすか?どこが浅くて、どこが深くて、どこに岩場があって、どこに砂場がある、それを鉛ヒキズリーをすることによって、この転がり方の感覚で「ああ砂場になった、あっ深くなった」って、地球の底がわかるんです(笑)(『採用!フリップNEWS』)

大悟:うちのおばあがこう、アリつぶして食うて、「大悟、アリの潰し食うてみ、甘いど」言うて。その味は今だに鮮明に覚えています。

ノブ:きちゃないな(笑)エピソードがきちゃないのよ。

大悟:アリの行列をばあちゃんと2人で1列ぐらいいきましたよ。

ノブ:怖い怖い怖い。やめてください(笑)(『#そのつぶやき、くわしく教えてくれませんか?』

大悟のお父さんもまた、島独特の人間関係の中で、一風変わった仕事をしていたという。

大悟:海に行って、できるだけカドの無い、丸ーい石を探して、島の親分に見せに行くっていう。親分が小遣いくれる。「おー、丸いのう」って。(『おしゃれイズム』)

大悟:サラリーマンとかだったら、年に2度ほどボーナスってあるじゃない。最近気づいたんだけど、うちの親父のボーナスは牛肉やった。年末なんかに牛肉のブロックもらって帰ってくるの。すき焼き用か、ステーキ用か選べるらしい(笑)(『キングちゃん』)

マクドナルドにスーツで行った日

大悟が家族で初めてマクドナルドに行ったエピソードは、いかにも島の純朴な家族のようで微笑ましい。

大悟:いちばん最初にマクドナルド行ったときは、一週間ぐらい前に親父が家族に「全員揃え」と。「今度の日曜日に、山本家はマクドナルドに行くことになりました」って。僕ら、はーっマクドナルド行くんかってドッキドキして。そしたら日曜日になって、初めて親父がスーツ着てきたんすよ。(笑)

船乗って、岡山着いて。でも僕ら全員マクドナルド行ったことないから頼み方もわからんくて。家族5人でテーブル座って、じーっと注文訊きに来るの待っとったんです。

親父はやっぱり周りを見て、「おーっ、そうじゃった、そうじゃった。ここは頼みに行くとこじゃった」。ほんで家族5人緊張しながら頼みに行って、持ってきて、ほんで食うたことないから、一番上のパンから食うていったんです(笑)(『踊るさんま御殿』)

大悟は島民の誇り

そんな大悟は北木島の島民の誇りであり、島民も故郷に錦を飾った大悟を優しく迎えた感動的なエピソードがある。

大悟:わしが初めて島に帰って漫才する、っていうときがあったんですよ。そのとき、島への船が、全部タダになったんですよ。みんなが見に来てくれたらええわ言うて。

わしが行ってた小学校の体育館で漫才するんで、港について、体育館まで車に乗って行くんですけど、わしが帰って来るからって、海辺の道沿いの防波堤に、1m置きにずーっと、かざぐるまが立ってるんですよ。それが、腰の曲がったばあさんたちがかざぐるまを1個ずつこう立てていったと思ったら、いろんなこと思い出して、もう人を笑かせるような状態じゃないんですよ(笑)(『あるある議事堂』)

岡山の大地主の息子・千鳥 早川信行のヒストリー

千鳥のノブこと早川信行は、岡山県井原市の、山と田畑に囲まれた大田舎で生まれた。

ノブの家が東京ドーム20個分の山を持つ大地主であることもよく知られているが、しかし決して大金持ちのお坊ちゃんというわけではない。

ノブ:僕んところはホント山奥で、松茸なんかも食べ放題でしたし。うちの裏山は全部うちのものなんですよ。オトウに聞いたら、42万平方メートルあると。東京ドーム10個分の山。持ってるんですけど、岡山って土地が安すぎて、「それ売ったらいくらになるの?」って訊いたら、「ゼロじゃ」って言うてたんです(笑)(『志村けんのバカ殿様 家族揃って初笑いSP』)

また、ノブの母は料理があまり上手くないとして、たびたびネタにもされてきた。

大悟:最初、高校のときノブん家に行ったときに、晩飯にカレー出てきたんですよ。カレーなんか逆にどうやったらヘタに作れるの?っていうもんやん。カレーがもうシャバッシャバで、「え? これ流行りって聞いたことあるスープカレーかな?」って思ったぐらい薄いカレーなんですよ。

ノブ:そうなんですよ。友だちが急に5人ぐらい来るからってオカアに言ったら、「わかったわかった、じゃあカレー増やしとくわ」って言って、ただただ水を入れたんです。シャバッシャバのが出てきた(笑)(『志村けんのバカ殿様 家族揃って初笑いSP』)

大悟:次の日の朝、朝飯食おうと思って、わしとツレとノブと、ノブのオトウがテーブル囲んでたら、ノブのオカアが、「はーい」言うて、カッチカチの小魚をテーブルの上にポロン、ポロン、ポロン、ポロンて置いてったんですよ。わしは、ほんまに箸置きやと思ったんです。カッチカチの、魚のかたちした、箸置きが出てくる家なんやなと思いながらパッと見たら、ノブの親父がそれを食いだしたんですよ。「食うの! これ食うやつなの!」って。

ノブ:なんかメザシみたいなやつですよ。

大悟:ほんでその後、みそ汁が出てきたんですよ。そのみそ汁も、お椀にもずくが山のように入ってて、そのもずくを一回取ったら汁がもうちょこっとしかないんです(笑)(『志村けんのバカ殿様 家族揃って初笑いSP』)

ノブの父親

また、ノブの父にはデリカシーがないと大悟が語る。番組で西川きよしがノブの実家を訪ねた際にも、息子の大先輩に対するノブの父の態度をVTRで見ながら大悟が苦笑する。

大悟:なんでおまえの親父は絶対に誰よりも上から行くん?(笑)

ノブ:魚の刺身な、大悟のオトウとオカアが出してくれたときも…

大悟:うちの島行ったときに出したんよ、このオトウとオカアに。ほんならアジの刺身食うてこの親父が、「わしゃあアジはフライのほうが好きじゃ」って(笑)

ノブ:マジでノー・デリカシー親父なんすよ(笑)(『相席食堂』)

そんなノブの父は、大悟がノブを言いくるめて会社を辞めさせて芸人の道に引っ張り込んだ、として当初は激怒していたという。わざわざ大悟の家にまで電話をかけ、「今度会ったらぶん殴っちゃる!」とまで言ったという。

ただし先日番組にサプライズでノブのご両親が登場した際には、今の千鳥の大活躍ぶりをどう思うかと問われ、「すべて大悟君のおかげじゃ」と話して大悟が苦笑するという場面があった。

確率だけで言えばほとんど食べていける見込みのない世界に我が息子を引っ張り込んだ大悟を憎んだ気持ちももちろんわかるし、自分の息子に芸能界で生きていく才覚などないと思うのも当然だろう。

しかし松本人志や千原ジュニアは、「お笑いの世界では、面白いやつは早かれ遅かれ絶対に売れる」と口をそろえて言う。

大悟を信じてついていったノブも、きっとそう信じていたに違いない。

運命の出会いは高校時代

ちなみに、「千鳥」というコンビ名は、2人が入りたかったけど入れなかった高校、笠岡高校の通称である。

笠岡高校は千鳥ケ丘と呼ばれる高台に建ち、校章にも千鳥が描かれていることから、地元では「千鳥」と呼ばれているらしい。

しかし2人はその「千鳥」ではなく、笠岡商業高校に入学する。

ノブ:僕は岡山の山奥の出身で、大悟は島の出身なんですけど、その入学式の朝に、うわさで「島から鬼が来る」と。大悟が住む北木島って、本当はいいところなんですけど、うわさではヤンキーばっかりの島で、「獄門島」って呼ばれてたんですよ(笑)

で、入学式の時に、来ないから、ああやっぱり高校やめたんか、ってちょっとホットしとったら、入学式の最中に後ろの扉がガタン、って開いて「スマン、遅れましたわ」って入ってきて。うわーっ、鬼が来た、って振り向いたら、大悟やったんですけど、ブレザーを短ランにして、スラックスをボンタンに仕上げてきてたんですよ。髪も、角刈りなんですけど、ちぎれた髪の毛が、顔じゅうにブワーッてついてるんですよ。ほんまの鬼が来た、思て。

大悟:入学式の前に、本土の散髪屋さんに行ったんすよ。入学式やから、「おっちゃん、今日は大事な日や、気合入れていかんとあかん、男はやっぱ角刈りや」っておっちゃんに頼んで。で、角刈りにしてる最中におっちゃんが「入学式何時や」って聞くから「9時や」「もう9時過ぎとんぞ」「そらあかんわ、もう途中でええわ」言うて、シャンプーもせんとそのまま行ったんすよ。僕は気づいてなかったけど髪の毛が顔じゅうに付いてて。それで1学期はだれもしゃべってくれなかったです(笑)(『ベイマックスMovieNEX』DVD&ブルーレイ発売記念イベント)

獄門島からやって来た鬼は、勉強はまったくせず、ファッションも異常にダサい、田舎のヤンキーまる出しだったようだ。

大悟のジーパン

ノブ:高校入ってまだ喋ったことも無かった頃に、なんかこいつの私服がめっちゃダサいって噂があって。その頃はアメカジとか、草彅くんとかキムタクとかが履いてたような、リーバイスのジーパンとか、みんな履いてたんすよ、ちょっと高い10万とかするようなやつとか。ジーパンと言えばリーバイスやったんですけど、こいつが履いてたの、なんやったっけ?

大悟:「紅サソリ」です。

ノブ:「紅サソリ」っていう、島にしかないジーンズですよ。後ろに怖いサソリの刺繍が入っとって。

大悟:ジーパンなのにボンタンなんですよ。裾しぼって、足首にチャックついとるんすよ(『ワッハ上方「チラシ百花繚乱」千鳥トークイベント』)

ノブ:私服がダサいのがおもろいってなって、おれらがやってたボーリング大会にこいつ呼んだんですよ。そういう、学年みんなで集まるボーリング大会って、私服お披露目会みたいなことも兼ねてるじゃないですか。ふだん制服やけど、どんな服着てんのかなって。だからみんなもう一張羅の、ちょっとイキっておしゃれしていく、みたいな。

そのときに大悟が着てきたのが、英字新聞の柄のシャツってあるじゃないですか、New York Timesとか書いてるような。あれの、上下着てきたんすよ(笑)あれの、上は見たことあるけど、下は見たことない(笑)

大悟:風の強い日に、新聞があたって歩いてる人みたいな(笑)(『ワッハ上方「チラシ百花繚乱」千鳥トークイベント』)

勉強ができない

大悟:僕はもう見ての通りですけど、勉強が全然できなくて。高校3年間でね、一冊も教科書を買ってないんですよ。5教科あったら、3教科ぐらい0点です。あとはなんとか5点ぐらい。

「あなたもう、このままでは卒業もできません」と、最後のテストの前に担任の先生に呼ばれて。「大悟君、ちょっと教科書を持ってきなさい」と。「ごめん先生、わし教科書持ってないんじゃ」と。なんちゅうことや、だれかに借りてきなさい、言われて。で、「先生が今から言うところに線を引きなさい」って。全部線を引いたんですよ。それが、テストの全部の答えやったんです。

それで僕、20点取ったんです。それでなんとか卒業できたんです。(「ハイスクールマンザイ 2015 H-1甲子園」開催発表記者会見)

初めてノブを意識したソフトボール大会

そんな大悟が初めてノブを意識したのは、校内でのソフトボールの試合だったという。

このときのノブの「ツッコミ」の瞬間がある意味、千鳥誕生の瞬間だったと言えるかもしれない。

大悟:A組とB組で、体育の時間にソフトボールがあって。わしがバッターボックスに立ったときに、こうやっとったんですよ(メジャーリーガーのように体をソワソワと揺らしながらバットを構える)。そしたらレフトの方からノブが、「おまえドミニカでやっとんたんか!」って言うたんですよ。

レフトにおもろいツッコミおるなあ思て。そっからですね、隣のクラスのレフトおもれーぞ、みたいになって。(『スクール革命!』)

ノブにとって最初は嫌いなタイプだった田舎ヤンキーの大悟と、この日をきっかけに話すようになると、面白いとか楽しいと思う感覚が似てるなと感じ、意気投合したという。

そして、勉強が出来ないという点ではノブも同じようなものだったらしい。大悟によれば「学年ドベがわしで、ドベ2がノブだった」と言う。

さらにノブは卒業間近に、高校留年の危機となる、ある不祥事を起こしてしまう。

ノブが停学に

ノブ:僕、高校のときに謹慎になりまして。停学に。それが喧嘩とか、タバコとかじゃなくて、カンニングが見つかったんですよ。

大悟:引きましたよ、みんな(笑)

ノブ:一番卑劣な行為で謹慎になりまして。僕らの学校のルールで、カンニングが見つかったら、全教科0点になるんですよ。だからその時点で留年も決まったんです。大事な期末テストなんで。2週間の停学になったんですけど、家におったら休みと一緒やから、どうせ遊ぶからあかんいうことで、学校の奥の奥の方にあるなんか地下室みたいな、誰も入ったことのないような部屋があって、そこで2週間軟禁状態やったんですよ。そこで1日1冊本を読めって言われまして。本をずっと渡されて読んでて。

で、2週間経って、「ああ終わったなあ、これからどうやって生きていこう」って思ってたら、教頭先生が来て、「ノブ君は体育祭とかいろんなところで頑張ってくれてました」と。最後のチャンスで、「読書感想文を書いてください」って言われたんですよ。その本が「イチロー選手はなぜ成功したか」みたいな。

それで僕、一生懸命書いて、教頭先生に「見てください」って渡したら、先生が「すごい、めっちゃ感動した。よし、全教科70点やろう」って。くれすぎ、くれすぎ(笑)僕、その学年でだいぶ上位に食い込んだんです。そのとき一生懸命勉強してた大悟が最下位やったんですよ。ガチバカで平均20点(笑)

千鳥がお笑いコンビを組むまで

大悟は小学校6年のときには、将来芸人になりたいと思っていたという。

北木島の神社で行われる夏祭りに毎年来ていた、オール阪神巨人などの吉本の芸人たちに憧れ「おれもあっち側に行きたい」と思ったというのだ。

そして、高校3年のときの文化祭の司会を自ら買って出て、ノブと2人で務めたことがきっかけになり、2人はそれぞれ真逆の決意をすることになる。

運命の文化祭

ノブ:文化祭の司会を、「おれらにやらしてくれ!」って大悟と立候補して。司会なんて、出て行ってただ喋るだけやから簡単やと思ってたんすよ。

大悟:しかも同級生やしね、みんな。知り合いの前ですから。

ノブ:でも、出たら意外と緊張しちゃって、しかも大悟が考えてきたボケが、朝起きたら、緊張して下半身が馬になってたっていう。「どーもー」って出て行ったら、大悟だけ馬になって出てくると。

大悟:ケンタウロスみたいに。

ノブ:馬のそんなの作れないから、同級生が茶色の全身タイツ着て、大悟の腰につかまって後ろ脚をやってるだけなんです。でもその同級生も緊張してるから、手に力入って、大悟の前脚のタイツが徐々にズレていって、「どーもー」って出てきたら、全校生徒の前で大悟ジュニアが丸出しになったんですよ(笑)

大悟:小学生のモノならね、まあ笑いますけど、高三のソレはもう今のと一緒やから、ほら「ギャーッ」ってなりますよ(笑)実行委員の女の子とか泣いてるし。

ノブ:大失敗でしたね。それで終わって、僕はもう芸人の道は無理やって言って、就職したんです。

大悟:僕はそのまま、スベったまま終わるんが嫌で、芸人になったんです。そうでないと大人チンポ出したまま終わることになりますからね(笑)(『志村けんのだいじょうぶだぁ』)

このときの司会の様子の一部は関係者が撮ったビデオテープが残っていて、番組でも紹介されたことがあるが、目も当てられないほどの大スベリの中でも、大悟は高校生らしからぬブッ飛んだボケなども披露していて、のちの片鱗は窺えるものだ。

まさかのNSC不合格

高校を卒業した大悟は、NSC(吉本の養成所)に入ろうと大阪に出ていったものの、合格率99%と言われるNSCをなんと不合格になる。その理由を大悟はこう語る。

大悟:だれでも入れたんです、お金さえ払えば。なのに岡山の田舎もんやったから、吉本の養成所ってすごく狭き門やと思って、なんかせんと受からんと思うてて。面接官がいて、今思えば吉本の社員さんなんやけど、その面接官に「おまえらさっきから偉そうなこと言うとるけどなんや、わしよりオモロいんか?」って言って(笑)18やしな、こっちも尖っとるし。

ほんならそこで吉本の社員が「きみ、喧嘩売りに来たんなら帰りなさい」って言うたんですよ。もしかしたら、言うてもお笑いの吉本ですから、「ほんなら帰るわ」って、帰ったら逆に受かってたかもしれん。でも「喧嘩売りに来たんなら帰りなさい」って言われた瞬間に、さっきまであんなこと言うてたやつが受かろう思て「すいませんでした!!」って(笑)

ノブ:一番ダサいやつね(笑)(『嵐にしやがれ』)

ノブのサラリーマン時代

ノブは高校を卒業すると広島県のシャープ福山工場に就職し、営業職を務めた。

2年ほど勤めたが、大阪でたこ焼き屋のバイトをしながらインディーズ・ライブに出演していた大悟にダマされて会社を辞め、芸人になろうと決心した。

ノブ:大悟が大阪に芸人になりに行ったと、でもNSC落ちた、で何してるって訊いたら、ずっと家で一人で長渕のCD聴いてるって。ひとりの友だちが終わったな、と思ったんです。そしたら夏に、こいつが岡山に帰ってきて、カラオケとかやってるときに、「どやねん大阪は」って訊いたら、「ちょっとノブ、売れたわ」って。「えっ?」ってなって。そんなん全然きかへんやんて言ったらこいつが、大阪新聞って書いてる新聞記事を「ほら」っと出して、それ見たら、「岡山から来た超新星・ピン芸人大悟、大ブレイク!」って書いてて。マジかこいつ、売れてるやん!ってなって。おれもお笑いうっすらしたかったんですよ。でもそんなの現実味がないから企業に就職したんですけど、こいつについていったら売れるんちゃうかと思って。で、シャープに辞表出して、そのまま荷物まとめてこいつの家に行ったんすよ。で、来てみたら、一個も売れてないんすよ!

大悟:週6でバイトしてました、そん時。

ノブ:あの新聞記事なんやねんと思ったら、ただの笑い飯とかとやってるインディーズ・ライブのチラシやったんですよ。あえて新聞ぽく加工して作ったやつやったんですよ。シャープ辞めて来てみたら半年後に、あれ? 一緒に長渕聴いてる、ヤバイヤバイってなって、そっから「ちゃんと漫才つくろか」ってなって。

大悟:ふつうね、なんもなしでね、仕事してる人に、ちょっと芸人になろう言うてもなかなか仕事辞めて来ないでしょ。そこで、売れてるわしについて来いよ、大丈夫やから、っていう。なもん会社さえ辞めさしてしまえばこっちのもんやから(笑)(『ワッハ上方「チラシ百花繚乱」千鳥トークイベント』)

漫才コンビ千鳥誕生

大悟の一世一代のウソに、天然のノブが騙されて、漫才コンビ・千鳥が誕生した。

大悟はたこ焼き屋で、ノブはパチンコ屋でバイトしながら、漫才のネタをつくり、吉本が定期的に開催するオーディションを受ける下積み生活が始まった。

大悟:でもたこ焼きも、毎日食べるから、もう飽きてくんねな。ほんでたこ焼きの中身を変えだすねん。チーズ入れたりだとか、そのたこ焼き屋にあるもんで。最終的に、たこ焼きの中にたこ焼き入れたもん(笑)(『イッテンモノ』)

ノブ:僕はパチンコ屋でバイトして。一回、パチンコを打ってた完全にヤカラのおじさんがいて、その人がどいたんですよ、その台。でパッと見たら、玉が3玉残ってたんですよ。これってもうないもんじゃないですか。で、パーッと片づけて掃除して。そしたら次おばあちゃんがそこに座ったんですよ。そのおばあちゃんが、すぐ出たんですよ。大当たりして。そしたらその怖い人が帰ってきて、「誰や!わしの3玉どけたんわ!」って。

「僕なんですけど」って言ったらもう首をボンゴボンゴ殴られて。

「おまえ何時までや! まだ殴り足らんから待っとく!」って言われて。

すぐ大悟に電話して、「大悟、おれ11時から、首を殴られるから、迎えにきてくれ、助けてくれ!」って。大悟に迎えに来てもらって、2人でバーッ逃げて。

大悟:電話かかってきて「首ぃっ! 首ぃっ!」って言うてるから、わしもできるだけガラの悪そうな服着て(笑)(『イッテンモノ』)

吉本オーディション

吉本のオーディションが開催される日は、吉本本社前に朝から500人ぐらいが参加者が並んだと言う。しかし先頭から100組ぐらいまでで締め切られてしまうため、大悟とノブは朝早くから並んだ。

ノブ:朝10時から受付ですっていうのに、7時ぐらいからおれらと笑い飯と4人で並んで。

他のやつは緊張してんのよ。社員が一応見てるから。おれらは地べた座って「そんなもん立って並んでどうすんねん」て4人で缶ビール飲みながら。ほんとあの、『火花』の序盤みたいな。4人が4人スカジャン着て(笑)やってんのに、なにがダサいって、ほぼ一番前に並んでるのよ(笑)めっちゃ朝早起きして、悪ぶるっていう(笑)(『オードリーのオールナイトニッポン』)

理解されなかった新人時代

そうこうするうち、吉本のオーディションに合格し、晴れて吉本の芸人としてスタートした。大悟とノブが20歳の時のことだ。

しかしやはり順風満帆とはいかなかったようだ。ネタ見せではダメ出しされ、現在では千鳥の個性として浸透している岡山弁の方言も初めは足かせとなった。

ノブ:芸人て作家のネタ見せとかあるやん。ライブに出させていただく前に、まずその作家にOKもらわないと出れないんですよ。大悟とおれで若手の頃行ってて、こう作家の人が腕組んでエラそうに見てる。けっこうおれらは自信あるネタだったのよ。で、やったら、「おまえらがやってる漫才は、客にウ〇コ投げてるのと一緒や」と。大悟がカチーンと来て、「あんたね、ウ〇コの中ほじってみたら、ダイヤがあったらどうするんですか?」って。

大悟:それ言った瞬間に、作家さんの蹴りがここ(耳のあたり)まできた(笑)(『イッテンモノ』)

ノブ:岡山弁があんな通用しないってわからなかったですよ。初舞台の時とかも「そっちのほう行かんやろ」っていうツッコミをしようと思って、「そがーなとこいかまーが!」って言ったんですよ。お客さんは、え? タイの料理? みたいな顔して(笑)

大悟:ボケの後に凄いのをカブせてくる(笑)(『イッテンモノ』)

フット後藤が語った千鳥の若手時代

田舎ヤンキーまる出しの大悟と、茶髪にして腕組みしたまま漫才をするノブの、超ガラの悪いコンビは、よしもとの先輩たちにもよく怒られたという。

ガラが悪く、尖っていて、ネタではすべりまくっているくせに負けん気だけは強いから、ウケている先輩芸人を大悟がメンチ切るような顔で睨みつけていたと麒麟川島が証言している。

フッボールアワー後藤もそんな時代の大悟にカラまれた一人だ。

後藤:おれもう忘れもせえへん。大阪の劇場に出てたんですよ、おれらも。千鳥がむちゃくちゃガラ悪い漫才して(笑)ほんで「ハイ、ありがとうございましたー」って最後にみんなステージに出てきたんですよ。「おまえらガラ悪いの~」とか言うてたらもうこんなや(ヤンキーのように睨みつける大悟の顔をマネる)。こいつボロッボロの靴履いてて。人前に出るようなやつちゃうで。ほんで「おまえ、なんちゅう汚い靴履いてんねん!」て言うたらこいつ、「(睨みつけて)どこイジっとんじゃ!」。マジやで(笑)

大悟:ホント、あの時の大悟、一番殴りたいんですよ(笑)(『徳井と後藤と麗しのSHELLYと芳しの指原が今夜くらべてみました』)

それでも結成4年目で『M-1グランプリ2003』の決勝に進出して、大器の片鱗を窺がわせた。しかしトップバッターでド下ネタを披露して結果は最下位。

翌年の『M-1グランプリ2004』でも決勝進出を果たしたものの、なんと2年連続の最下位。決勝に進出したほんの一握りの漫才師にもかかわらず、そのせいで「日本でいちばん面白くない漫才師」というイメージがついてしまったという。

その後も2005年は6位、2007年は8位と、決勝進出はするものの上位入賞は果たせなかった。

盟友笑い飯

『M-1』決勝進出常連の笑い飯は、千鳥とは下積み時代から交流があり、ノブと哲夫はワンルームのアパートで同居していた時期もあった。

哲夫:僕が使ってた布団は、大悟の家に余ってた布団を持ってきて使ってました。ほんでたまにどっちかが帰ってけえへんときは、この二組の布団を重ねて、厚みを出して寝るという。

ノブ:カッチカチなんですよ、布団が。大悟の家からずっと使ってるやつなんで。男のすべての、汗とか、首筋の匂いとかが染みついた布団なんで、もう毎晩布団入って「クセェー!!」(『日曜もアメトーーク 2時間SP 仲良し同居芸人』)

ノブ:哲夫さんも変ですよ、そりゃ。意外と、めっちゃ几帳面なんすよ。きれい好き。掃除とかはだから全部、哲夫さん。あんなに飲んで、ワーッてお笑いを喋って、「おい、おまえら、笑いで天下獲るぞーっ!」って言ってた男が、次の朝、リビングで正座して写経してるんすよ(笑)

今でこそ本をね、3冊ぐらい出してるからわかりますけど、当時、朝起きたらおれに隠れたように、南無妙法蓮華経みたいなの書いてるから、おれ、絶対なんかキツめのに勧誘されるわ、と思って(笑)(『日曜もアメトーーク 2時間SP 仲良し同居芸人』)

ノブ:哲夫さんは食事やアテとかもだいたい作ってくれるんすよ。でも、マズいんですよ。健康食品ばっか作るんすよ。

哲夫:体に良いのがね、いいかなと。

大悟:酢やねんな。

ノブ:全部に酢入れるんですよ。

大悟:ほんで怖いぐらい、みじん切りにするんですよ(笑)カレーのはずなのに、なんでそんなにみじん切りにしてるの?って。ほんでそれを入れて美味ーいカレーつくって、最後に台無しのように酢をドボドボドボドボって。

ノブ:水の半分ぐらい酢入れるんすよ。カロリーが高いからって言って。出し方とかはめっちゃカッコいいんすよ。おれがこう寝てたら、コンコンコンコンってやってんすよ、朝から。「朝は食うときや」みたいな。「あ、すいませーん」って起きて、食うたら、「マズいんかい!」って。そんな、ぶっきらぼう山男が出したカレーが「マズいんかい!」(笑)(『日曜もアメトーーク 2時間SP 仲良し同居芸人』)

しかしそんな哲夫に、ノブはツッコミを鍛えられたと語っている。

哲夫が、ノブを知らない人のように「どちら様ですか?」とボケると、「ノブじゃ」と返す。「いや、知らないのでついて来ないでください」「なんで家の中まで入ってくるんですか?」と哲夫がボケ続け、その度に「ノブじゃ」と返す。このノリを延々朝まで8時間以上も続け、最後はフレーズも尽きて「殺すぞ!」「死ね!」というツッコミに変わってくる。疲労困憊で最後に心の叫びのような「ノブじゃ!」が出るとようやく哲夫から「それがツッコミよ」と認めてもらえるのだそうだ。

大悟のしつこいボケにノブが苛立ち、叫び、懇願するようにツッコミを繰り返していく、彼らの得意のパターンもこの頃に身につけたものなのかもしれない。

転機となった小藪のアドバイス

しかし当時は番組に呼ばれても、スタジオでもロケでも、尖って、ボケ倒して、スベり倒す。

M-1の決勝に残るほどの素質があるにもかかわらず、なぜかうまくいかない状況で、小籔千豊のアドバイスに目を開かされたとノブが語る。

ノブ:ある日小藪さんに言われたんですよ。「まず考えろ、誰でもいいところを千鳥って呼んでもらう。そのスタッフさんがなぜ千鳥を呼んだかを一番に考えろ。それは今京都の山芋がおいしいことをリポートしてほしい、かつ楽しげなVTRにしたいから呼んでる。それやのにボケまくってどうすんねんな。よう若手が尖ってそんなん出えへんとか、出てもいらんボケしまくって変なことにしてまうやつらは一生売れへんと思う、今のテレビでは」って。先輩見たらブラマヨさんもフットさんもチュートさんも、あんなにネタ面白くて、トーク尖ってる人たちも、ちゃんと上手いことやって、かつ最後にひとつ落として終わる。オファーを受けたんなら、スタッフさんのほしいものを撮るためにやろうっていうことなんやなっていうのは、関西の中盤あたりから思ってましたね。(クイック・ジャパン誌vol.136)

それがきっかけになったのかどうか、千鳥のロケの面白さは評判になり、やがて徐々に大阪のテレビでレギュラー番組が増えていく。

ただし、ギャラはその忙しさほどもらっていなかったようだ。

大悟によれば、「劇場に出て、営業に行って、レギュラー番組13本あった。それで月給の天井は60万」。

大阪の芸人のあいだでは、「東京ではギャラが10倍になるらしい」とまことしやかに囁かれていた。

賞レース上位の常連に

2011年には『M-1グランプリ』がいったん終了した後に、漫才の賞レースを引き継いだ形になった『THE MANZAI』で決勝に残り、3位となる。

さらに2012年、2013年と連続で準優勝となり、優勝まであと一歩のところまで来ていた。知名度も全国区になっていく。

2012年にはフジテレビの人気番組だった『ピカルの定理』のレギュラーが決まった。

2013年からは内村光良MCの『笑神様は突然に』にもレギュラーが決まり、このゴールデンタイム番組で千鳥はそのロケの面白さを全国に見せつけることになる。

追い風を感じ始めた彼らは、東京進出を決意する。

東京進出、苦難の時代

2012年に千鳥は東京進出を果たしたが、ここからまたもう一度下積み時代が始まる。

かつて松本人志が言った「大阪の芸人は2回売れんとあかん」ということらしい。

この大阪芸人の辛さを千鳥も味わうことになる。

ノブ:東京行ったら、まず千鳥って知らないですよ、だれも。音声さんとか、「大悟さーん」はいうんですけど、おれこのまえ、「ノボルさんいますかー?」って言われて(笑)

大悟:ノボルが聞こえてきた時のね、僕はどんな顔していいものやら(笑)

ノブ:あと、キャラもわかってもらえてないんですよ、やっぱり。おれってもう、イジられたり、アホって言われたり、顔もヘンな顔やし、みたいなこと言われたりして大阪ではやってきたりしたから、その感じでトーク番組とか行くんですよ、東京の。で、僕の用意していたトークが、不細工な顔のくせに、カッコつけてナンパしたみたいな話を、用意していくんですけど、司会者の人がいきなりオープニングで、「君、男前だねえ」って言われて。そっから、おれの想定では、不細工で来てるのに、不細工のトークが出来ないんですよ。だから1時間番組、うっすら男前の顔して(笑)司会者の人は男前で進めたがってるから。邪魔したらあかんと思って。(『くせになるややこしさ ブラックマヨネーズのハテナの缶詰』)

大悟:大阪で僕ら去年ね、11本レギュラーあったんすよ。でも今年は東京に出てきて、勝負の年やってなって、大阪に恩返しするためにも、ここで一回大阪の仕事を減らそうと、卒業させてもらって、半分ぐらいにして、それで仕事来んかったらしょうがねえ言うて、ぼくら大阪の仕事半分ぐらい卒業したんです。で、東京の仕事待っとる状態の時に、よー見たら、ノブはピンの仕事だけ残しとんすよ!ゼニですよ。自分の食い扶持だけはアレしとくんすよ。それも、犬のアテレコの仕事なんすよ!

ノブ:ええやないか! 『アゲぽよTV』や! 

大悟:そげんなタイトル恥ずかしいけん大声でしゃべんな!

ノブ:『アゲぽよTV』の悪口言うなよ!

大悟:おまえ、わしと組んで岡山から出てきたとき、犬の声したい言うとったんかい!(笑)(『超人気芸人ガチで大ゲンカ祭』)

イカになったノブ

大悟:東京やからって(気合い入れて)行こうとしてる時ほど、僕見たらわかるんすよ、ノブの顔が違うから。もうね、グウッて力入ったときにね、目が小っちょーなってもう黒目だけなんすよ。で呼吸が、コーー、コーー、コーーって。しかも体が真っ白になってて、わし、えっ、イカがおる? わしの横にイカ? イカとこれから東京で勝負していくの?

ノブ:なりますよねえ。ツッコミのほうが相方にパスせんといかんと思いますし。

大悟:イカ刺しで来るときありますからね。

ノブ:イカ刺しって呼ぶなおれのことを(笑)(『くせになるややこしさ ブラックマヨネーズのハテナの缶詰』)

ノブ:(収入は)僕はまあまあなんとかやっていけるぐらいですけど、こいつはすぐ使っちゃうから。

大悟:僕いま東京の家、テレビもないすよ。金無いから。買えなくて。四畳半で、テレビ無くて、カーテンも無いすよ。2Fなんすよ。で、窓の前に、でっかい信号があるんすよ。だから寝てるとき、僕ずっと赤くなったり青くなったり。(『八方・今田のよしもと楽屋ニュース2013』)

岡山に帰ろうと思った夜

ノブ:プロデューサーさんていう方がいるじゃないですか。ほとんどの方が素晴らしいんですけど、こんな人がまだいたんだ、っていう。僕と、ノブコブ吉村で、呼ばれて行ったんですよ。吉村の知り合いのプロデューサーさんだったんですけど。40過ぎぐらいですかねえ、バーのVIP席におって、女の子4人ぐらいはべらせてんすよ。で、「おー来た来た! 吉村と? 千鳥か! 来い来い!」みたいな。で女の子に、「こいつら面白いからよ」みたいな。「おい、吉村、ノブ、テキーラ飲め、テキーラ。これ一気したら仕事やるから」って。「いただきまーす」って飲むじゃないですか。そしたら「女の子が退屈そうにしてるよ、カラオケ歌え」って。でカラオケ歌わして、ワーッて歌ってたら、「面白くねーなー。ちょっとほら、チ〇コ出して」って。これはアカン、「吉村、ちょっと帰ろう!」ってパッて見たら、思っきり出してたんですよ、吉村が(笑)

でもこんな人が東京にいっぱいいるなら、もう辞めて岡山帰って田んぼやろうと思ったんですよ(『有田のヤラシイ話 本当にあった!テレビ業界のムカつく話 大暴露SP』)

正月特番での大遅刻

大悟:一番デカい失敗は、やっぱりノブの、正月特番の生放送の漫才番組。4時間遅刻。(2013年元日の『爆笑ヒットパレード』)

ノブ:僕、大阪で朝目覚めたんですけど。パっと目覚めて「あれ?」と思ってテレビつけたら、僕の出番1個前のハライチが漫才してたんですよ。自腹で飛行機でぶっ飛ばして行ったんですけど、「もう、着くな」って思いました。宇宙行け!そのまま(笑)

大悟:わしもスーツ着て、6時間待ってた。ほいで来た時のノブの顔は、新庄の歯ぐらい白かったよ(笑)

ノブ:真っ白や(笑)人生終わった思たもん(『イッテンモノ』)

大阪と東京の違い

ノブ:東京の家を探してましてね。「東京来たらギャラが10倍になる」という噂が流れてるんですよ、大阪には。実際何倍ぐらいですか、大悟。

大悟:1.2。物価が高いから、逆に辛い。

ノブ:ビールも高いよなあ、東京は。

大悟:細グラス800円。大阪、デカジョッキ190円。(『内村てらす2』)

帰ろか、千鳥

2014年9月には、東京には来たもののレギュラー番組が次々と終了するなど、低迷する千鳥のために『アメトーーク』で東野幸治の持ち込み企画〈帰ろか、千鳥〉が放送された。

東野:今日のノブくんの気合の入れようは正直…。

大悟:今日もう会ったとき恥ずかしかったんすけど、めちゃくちゃ刈り上げてきとんすよ。ノブ史上こんなに刈り上げてきたことない。楽屋おっても、べつにだれもノックしてないのに、(突然振り返って)「はいっ!」って(笑)

宮迫:気合入りすぎやて。おれらの楽屋でなんて言うたっけ。

ノブ:「今日が30代で一番大事な日です」(笑)(『アメトーーク 帰ろか、千鳥』)

 

ノブ:大悟を象徴するエピソードだと思うんですけど、『THE MANZAI』の東京(決勝)へのキップをつかむ大事な大阪予選で、若手がワーッとネタ合わせしとるのに、大悟は畳の部屋でごろーん寝転んで、「今さらネタ合わせするやつはアホじゃ。あわててもしゃーないわ」って言ってたんすよ。で、「千鳥さん出番でーす」って言われて、バーッと出て行ったんすよ。もう何百回ってやり倒したネタですよ。バーッと出て行って、東京のカメラがあるって気づいた瞬間、おれのほう向いて、「なんじゃったかのう?」って(笑)

大悟:ほんまにもう、ぜんぶ飛んだんすよ。…THE MANZAIに行ける、これが東京への足掛かり、これでわしの人生が決まる、パァァーーン、「なんじゃったかのう?」(笑)(『アメトーーク 帰ろか、千鳥』)

 

大悟:『ピカルの定理』に僕らは途中から入ったんで、後輩たちが繰り広げてる中、僕とノブがいったんすけど、なんかウェイター役をやったんすけど、その、フォークがお皿の上に置いてあって、それがずっとカタカタカタカタカタカタカタって(笑)でも先輩やからなんか偉そうなことを言う、みたいな。もう、なんこっちゃわからへん、(カメラ)止めて止めて!みたいな(笑)(『アメトーーク 帰ろか、千鳥』)

 

東京で低迷する千鳥をイジるような内容ではあるものの、いまひとつ売れていないコンビをメインにした企画を放送するあたり、『アメトーーク』の制作スタッフは早くから千鳥というコンビの面白さに気づいていたのだろう。

また、自分たちのあまり順調とは言えない現状を自虐的に語ることで、ノブのあの「嘆きツッコミ」が俄然輝きを帯びてきた。ノブは「嘆き顔」がよく似合うのだ。

その後も品川祐が嫉妬も込めて「アメトーークは千鳥に優しすぎるんだよ!」とよく言っていた通り、『アメトーーク』や『ロンドンハーツ』に頻繁に呼ばれるようになる。そこでの活躍がブレイクへのステップとなったことは間違いない。

ブレイクのきっかけ

千鳥にとってターニングポイントとなったのが、2015年の年末に放送された『アメトーーク 2015反省会』だったとノブは言う。

ノブ:『アメトーーク 2015年反省会』のときに、もう忘れもしない、あの今、渚が座ってる席で、仕事ないとか、スベったとか、それまで恥ずかしくて隠してたのを全部言ったんですよ。そこでなんか初めて手ごたえあるウケ方して、なんかこう初めて「カチッ」と音がしたというか。今までフワフワしてたのが、カチッて音がした、っていう感じですかね。ちょっと熱くなってすいません(笑)さらけだしたというか、開き直ったんがよかったというか。(『アメトーーク 今年が大事芸人2018』)

その「カチッと音がした」瞬間、『アメトーーク 2015反省会』で千鳥が披露した数々のエピソードは、東京に出てきてもなかなか売れず、苦戦している現状を自虐的に語ったものだった。

ノブ:そんなん言うたらおれだって言いたいことある。大悟は、酒が好きすぎるのが困るんすよ。飲むのはいいんですけど、早めの朝7時品川集合のロケでも、関係なくウワーッ飲んでくるんすよ。

1回びっくりしたのが、集合時間に僕、品川駅のホームで待ってて、女性APさんが横にいたんですよ。「あれ、大悟さん遅いですねえ」って。で、10分遅れぐらいで、「すいませーん、遅れましたー」って来たんですけど、上はダウンジャケットがっつり着て、マフラーがっつり巻いて、ズボン履かずに来たんですよ。

怖い、怖いっ!ってなって。逆に最先端ファッションすぎて、一瞬向こうから、シルエットだけで言うたら志茂田景樹さんが来たんかと(笑)志茂田シルエットで来たから(笑)

大悟:だから、あんま覚えてないんすけど、タクシー乗って「品川行ってくれ」言うて。

ノブ:酔ってんのよ。

大悟:「品川着きましたよ」言われて、金出そうってポケットに手入れたら、ポケットがねえってなって。わし、ポケットがねえズボンなんか持っとったかのう思て。ほんで立ったら、パンツやのう、ってなって。どないしよ、と思って(笑)

結局マネージャーにすぐ来てくれ、言うて。パンツ一丁でわしが出てったらマネージャーがなんか首に巻いてたスカーフみたいのを「ああーっ!」言うて巻いてくれて(笑)

ノブ:そんなんでロケのオープニングやるんすよ。爽やかな番組なのに「さあ!始まりました!」って言うてる横でもう、懲役300年みたいな顔して(爆笑)

大悟:よっぽどのことせんと懲役300年にはならんぞ(笑)(『アメトーーク 2015反省会』)

番組終了とトラウマ

ノブ:番組終わるって、ほんと悲しいじゃないですか。それの、ちょっとしたトラウマみたいになっちゃってるのが、番組の最終回の時のちょっとした打ち上げの時に、小っちゃい缶ビール出て来ないすか。あれをそういう打ち上げの時に見すぎてて、ちょっとトラウマみたいになってて。スーパーとかであのサイズ見ると、鳥肌が止まらないんですよ(笑)おい、大丈夫かこのスーパー!

宮迫:いやいや、スーパーは大丈夫や(笑)(『アメトーーク 2015反省会』)

内村光良の優しい言葉

ノブ:どっか卑屈になってしまってて。『笑神様』が終わっちゃったじゃないですか。その打ち上げで、内村さんが最後のあいさつで、「僕らウッチャンナンチャンも、お笑いスター誕生獲ったのに、そのあと全然仕事なかった」と。「だから千鳥も、笑神様終わっても、千鳥は面白いんだから、絶対大丈夫だ」って言ってくれたんすよ。

僕ら2人とも目ぇ真っ赤になるぐらい嬉しかったんですけど、売れたい病に罹ってるから変なこと思っちゃって。あの『お笑いスター誕生』のときって、ウンナンさん20歳ぐらいなんすよ。でも僕らもう35なんですよね。もう遅せーんじゃ!

大悟:内村さんの優しい言葉すら(笑)

ノブ:内村さん、もう遅せーんじゃ!!(『アメトーーク 2015反省会』)

ノブのワードセンスが本領発揮

内村光良だけでなく、芸人たちやスタッフは「千鳥は面白いから絶対に売れる」と言い続けていたが、なかなか世間にハマらなかった。

しかし2015年12月、ようやくこのとき「カチッと音がして」そのスイッチが入ったのをノブは感じた。

翌2016年も何度か『アメトーーク』に呼ばれ、だんだんと東京の番組に慣れてきた千鳥は、特にノブが、イカ状態から脱却し、その本領を発揮し始める。

芸人も本音や裏事情など、リアリティのあるトークや笑いが求められる時代だ。芸人には面白さだけでなく、共感できるキャラクターも必要なのだ。

そんな新しい時代の芸人像に、千鳥はぴったりと嵌まったのかもしれない。

ビートたけしも認めた、千鳥の漫才

そして2016年12月18日、フジテレビで放送された『THE MANZAI 2016 プレミアマスターズ』は千鳥の勢いをさらに加速させ、2017年のブレイクを決定的なものにした。

すでにこの『THE MANZAI』は賞レースの形式ではなく、歴代のM-1チャンピオンやTHE MANZAIチャンピオンが集結する「年に1度の漫才の祭典」に形を変えていた。

そんな漫才の最高峰の舞台で、千鳥は「おぬし」のネタをアドリブを入れながら披露した。大悟のしつこいボケにノブが悲鳴を上げ、掴みかかり、絶望的な表情で「もうやめてくれぇ…」とツッコむ。千鳥のやりたい放題のステージに会場を揺るがすような爆笑が連続し、MCのナインティナインも身をよじって笑った。観客の中には涙を流している者もいた。

番組の最後には、最高顧問ビートたけしが、その日最も面白かったコンビに千鳥を選んだ。

トロフィーも賞金も無く、M-1のようにマスコミを賑わすこともなかったが、漫才師の最高峰が一堂に会した中でビートたけしに「1番面白かった」と言わせたことは、どんな賞レースの優勝よりも価値のあることだっただろう。

ちなみに千鳥の漫才の台本は、パソコンはもちろん、紙の上に書かれたこともないそうだ。

大悟のアイデアとボケを軸にして、しゃべりながら2人で仕上げていく。ネタはすべて2人の頭の中だけに貯えられている。

2017年ブレイク芸人に

この勢いに乗り、2017年は『アメトーーク』に18回も呼ばれるなどテレビ出演が激増し、オリコンSTYLEが発表した〈2017年ブレイク芸人〉にも選ばれた。

その爆発的なブレイクの仕方は、想像をはるかに超えるものとなった。

337本のテレビに出演しその合間に劇場にも出演する大忙しの2017年がまもなく終わろうとする頃、2017年末の深夜ラジオで2人は自分たちのブレイクについて語っている。

ノブ:オリコンSTYLEが発表した2017年ブレイク芸人。1位ブルゾン。そらもう文句無しやな。2位が、にゃんこスター。まあそうでしょう。3位、千鳥!

大悟:うん。素晴らしい。

ノブ:これはどうなん?(笑)超若手の中に、おれらだけ異質じゃない、なんか。

大悟:4位はサンシャイン池崎か。自分で言うのもなんやけど。こんな本格がおったらあかんよ。

ノブ:本格って言う?(笑)おじさんが急に入ったみたいになってますよね。そうなんか、おれら2017年ブレイクなんか。

大悟:でも、正直言うとそんなに…。

ノブ:1位ではないからな。

大悟:だからいいのよ。もうちょっと抑えとってもよかったぐらいかな。

ノブ:あー、ここに名前が入らないぐらい。

大悟:ヘンな話、ここに名前が入るってのは危険やからな。

ノブ:そうそうそう。出演本数とかも一回ガーンって上がっちゃうと、次の年アレ?ってなっちゃうから。

大悟:もう同じネタ、見た見たってなっちゃうから。

ノブ:たしかにそうやな。11位ぐらいでよかったよな。おれらも2017年からということになるんですね、結局。(『千鳥のオールナイトニッポン』)

本人たちはブレイクをいたって冷静に受け止めているようだった。若手でもないので、急に天狗になったり自分を見失ったりすることもなかった。

しかし、それでもあまりの忙しさに芸が荒れたり、肉体的にも疲弊していくのではないかとわれわれファンは心配もしてしまう。

オードリーのオールナイトニッポンに呼ばれたときにノブがその本音を漏らしている。

オードリー若林が絶句した千鳥の鬼スケジュール

若林:なんか、花月のスケジュール見たら、3公演出てて。合間ですよね、ロケとかスタジオの。

ノブ:合間に行ったりしてるし、この前の土日なんかは、土日で11ステージ。

若林・春日:ええーっ!!

ノブ:前日は沖縄で5ステージやって、次の日は大阪で5ステージやって、飛行機乗ってとびこんで、『アメトーーク』で声が出ず、大スベリ(笑)なにをしとんの、おれは!!(笑)なんのためにしとる! 『アメトーーク』に合わせぃ、照準を!(笑)

若林:いや、マジっすか。

ノブ:なにしてんの?って感じやろな、よしもと以外の人からしたら。くりぃむしちゅーの上田さんとか、「また声かれてんじゃん」って言うから、「すいません、いま劇場5ステ終わりで」って言ったら、「劇場5ステやって、いまこれゴールデンの番組で声かれてんだろ? バカじゃないの?」って。「たしかにそうですよねえ」って(笑)

若林:千鳥さんが5ステージって、おれ想像がつかないですよ(笑)

ノブ:いやぜんぜんやってるし、昨日とかも映画祭やってる沖縄で、『いろはに千鳥』のロケを6本撮ってる。しんじれない(笑)

若林:しんじれない(笑)

ノブ:始発の飛行機6時発で、沖縄に9時ぐらいにつくんかな。だから4時半起き。向こうでバーッと6本ロケして、最終20:50分の飛行機でまた帰ってくんねん。

若林・春日:うわぁ~。

ノブ:「ロケ6本かぁ~」と思ってスケジュール見たら、あいだに漫才が「2」入っとる。

若林・春日:(爆笑)

ノブ:沖縄の舞台で「2」入っとる(笑)

若林:怖いですね~(笑)(『オードリーのオールナイトニッポン』)

超過酷!いろはに千鳥のロケ

『いろはに千鳥』で、1日6本撮りの最後の回では、ぐったりしたオープニングで、こんな場面も見られた。

大悟:これで終わり? ようやく。

ノブ:これで終わりやなあ。やっとや。やっと終われるわぁ。

大悟:ふうー。

ノブ:ダメやろ、いま番組始まったばっかりなのに、「終われる」は(笑)

大悟:初めて見た人びっくりするやろな。この、よくない感じ。毎週見てくれて……うーわ、ウンコ、踏ーもお。

ノブ:よけろよ(笑)

大悟:よけるよ、普通は。これぐらい疲れとるともう踏むわ(笑)(『いろはに千鳥』)

疲れきっていて、路上のウンコもよけられないらしい。

さすがにちょっと、心配にもなってしまう。

大悟、ノブの嫁・家族

2008年、28歳の時にノブは、長らく付き合ってきた高校の同級生、「むっちゃん」と結婚する。プロポーズは貸切露天風呂、結婚式はかなりの節約結婚式だったという。

大悟:風呂でプロポーズしたんですよ、こいつ。

ノブ:そうそう。貸切露天風呂。ホテルニューアワジっていう、淡路島の。

大悟:迷惑かかるから名前出すな(笑)

ノブ:違う、違う、迷惑じゃないよ。おれこの話大阪でしたら、ホテルニューアワジのフロントに「貸切露天風呂では千鳥のノブさんがプロポーズされました」って受付に書いてたんですから(笑)(『イッテンモノ』)

ノブ:結婚式って、ここに置く花が生花だと10万円ですとか、ウェディングドレスが50万円。いや~出せない、いろいろ切り詰めて、切り詰めていった結果、出てた料理が、パスタと発泡酒だけやったんですよ。

切り詰めすぎて、金無いときやったから。僕らがパパパパーンって出て行ったとき、芸人からずっと、「メシが少ねえぞ~!」って言われて(笑)(『痛快TV スカッとジャパン』)

ノブの奥さん、むっちゃんとのエピソード

ノブ:僕は、高校からずっと二十何年付き合ってるんで、まあ結婚しようと思ってたんですよ。でもお互い1人目の付き合った人なんですよ。高校だから。

22ぐらいの時ですかね、「とりあえず、おまえとは結婚する」と。「だから今から3年間、一度別れて、その、いろいろ世間を見て、25に再集合して結婚しよう」って言ったら、大ビンタされました(笑)(『イッテンモノ』)

大阪で売れっ子になった頃、2010年には大悟が30歳で結婚する。

最初はその相手の妹と知り合ったが、お姉さんの方がタイプで付き合うことになったそうだ。

チュート徳井:この人に決めよう、って思ったのはなんやったの?

大悟:それはなんでしょうね。…ガチので言えば、うちの親を大事にするという。

フット後藤:へえー。プロポーズなんて言うた?

大悟:普通にもう家で、「結婚するか?」って。嫁が黙ったんですよ。シーンとなったんで、「ハイは?」って言うたら、「ハイ」って言ったんですよ(笑)

指原:へぇーっ。なんかカッコいい。男らしい。(『徳井と後藤と麗しのSHELLYと芳しの指原が今夜くらべてみました』)

大悟の不倫報道と器の大きい奥さん

しかし大悟はこれまで2度、週刊誌に他の女性といる写真を掲載されており、タクシーでホテルへ行く様子まで詳細に記事にされている。

テレビではそれを自虐ネタとして笑わせるが、奥さんの前ではやはりそんなわけにはいかないようだ。

大悟:あれってなにがツラいかって、その「撮られましたよ」から、写真誌が出るまでに一週間ぐらいかかるのよね。その期間、嫁は知らないし、よく言うじゃない「メシも喉通らない」って。でもおれの場合、一週間クソが細くなって(笑)

最終的に、週刊誌が出る前夜の夜中に、もう言わねえとダメだから、こういうことがありましたって説明したのね。

ただ「その記事は全部ウソです」って一応言ってみたら、「ほお~、おまえ大芝居打ってきたなあ」って(笑)(『キングちゃん』)

大悟:わしは「やってねえ」って言うてんですよ。でもさすがにわしも、ホテル行って「やってねえ」はもう、笑ろてまうやないですか。さすがに嫁も、「おまえも笑ろとるやないか」と(笑)。「ウソ過ぎて笑ろとるやないか」と(笑)『ダウンタウンなう』

ノブ:大悟の奥さん、ホンマ偉いですよ。こんな呑んべえで、いろんな週刊誌にも出たりしたじゃないですか。ストレスも溜まってると思うんですよ。そのストレスの発散法があんねんな。

大悟:ストレス発散で、髪を切って、刈り上げていくんですよ。でも週刊誌に撮られるスパンが短かすぎて、ウド鈴木みたいになってる(笑)「これ以上やんちゃしたらもう切る髪ないよ」って(笑)(『櫻井・有吉 THE 夜会』)

大悟:逆に、嫁を笑かすのが一番難しなってくるで。ボケでは笑わんよ。嫁はもう、わしの失敗でしか笑わん。最近嫁が笑ったのは、わしが歯磨いてるときにめちゃくちゃ歯から血ぃ出てきたとき。

ノブ:バイオレンスばばあか(笑)なんやねんそれ、血で笑うって。(『旅ずきんちゃん』)

大悟は現代の破天荒芸人

東野:大悟がゴシップになったから、ノブは不倫とかも絶対あかんから、ちゃんと真面目に仕事をして、家帰ってるわけやろ?

ノブ:そうです。

大悟:僕もシロですよ。

東野:わかってる。六本木のダンサーやろ。

大悟:なんもしてないって言うてるやんか。

ノブ:その金髪ダンサーとほんとになんにもなかった?

大悟:なんにもないよ!

ノブ:宮迫さんは色でいうとオフホワイト言うてたやん。おまえは何色なん。

大悟:備長炭ブラック。

ノブ:まっくろ!(笑)漆黒や。(『スタジオに絶対来られないスゴイ人』)

この、コンプライアンスと世間の目が厳しい時代に、浮気現場の写真を撮られても人気にはなんの影響もなく逆にネタにして芸人としてパワーアップしてしまう大悟は、昔のビートたけしや横山やすしなどの、破天荒な昭和のお笑い芸人を思い起こさせる。

毎晩明け方まで飲んで家に帰ってきてはトイレで嘔吐し、少し寝ただけでほぼ泥酔状態のまま仕事に行くこともよく知られている。子供たちとゆっくり過ごす時間も少ないそうだ。

大悟:毎日そうですね(笑)この前も、便所で「オェーッ!」いうてたら、コンコンて嫁がトイレをノックして、「もう子供、そのイメージしかないよ」って(笑)

ノブ:家で吐いてるおじさん(笑)(『櫻井・有吉 THE 夜会』)

ノブ:6歳になる娘になんて呼ばれてるんやったっけ。酒飲んで帰ったら…

大悟:なぜ帰ってきたバイキンマン、って(笑)(『ダウンタウンDX』)

大悟:このまえさすがに傷ついたのは、下の子とはほとんど一緒にいなかったんですよ。ほんで嫁が「1回ぐらい男同士になってみたら」って言って、2人きりになったんですよ。2人っきりでどうしょう思いながら2時間一緒におったら、息子が僕に緊張して2回ゲロ吐いたんです(笑)(『櫻井・有吉 THE 夜会』)

ノブの息抜き

ノブも忙しくて子供にもなかなか会えないが、少しでも時間が空くと、家に帰って子供と遊ぶようにしているという。

ノブ:今日も、これの前の仕事が22時に終わって、これが0時入りやったから、1時間半ぐらい帰れるなと。1時間半帰って、7歳の子供がアニメとか見てるから、「ちょっとそれいいから、ハル君、布団になって。ハル君掛け布団して」って。ハルをこう上に乗せて。「気持ちいい~。これこれ。人間はこれ。人間活動してる~」(笑)そういうのでちょっとは息抜いてるかも。(『オードリーのオールナイトニッポン』)

ギャンブラー千鳥

息抜きという意味では、大悟もノブもギャンブル好きで知られる。大悟は「レクサス2台分の金を沈めた」という競艇ファン、ノブはパチスロや競馬だ。

ノブ:真面目すぎるのよ、みんな。たまには息抜きせんと。たぶんその息抜きっていうのが、本を読むとか、映画観るとか、NGK行くとか、ルミネ行くとか、それはもう全然ダメ。頭動かしてるから。もっと、大パチスロとか(笑)大パチスロぶん回し(笑)

おれまだたまに行くもん。「なにしてんねん」て思いながら、「あー気持ちいいー」って。

昨日まで、いろんな番組しながら、スタッフと打ち合わせして、ゲストとこうやって番組成立さした、次の日に朝から大パチスロ(笑)(『オードリーのオールナイトニッポン』)

ノブは『アメトーーク』に〈 競馬大好き芸人〉として出演もしている。

競馬を予想するために、馬の調子や実績、騎手、馬場やコースの適正、ローテーションなど12項目のチェックポイントを見ていくという。

ノブ:これ見てるとき一番楽しいですよね。18頭出るとしたら、18頭分のこの12項目を全部考えていくんですよ。

そしたら、レースの前の晩に大雨が降ったりするんですよ。そうするとまたイチからなんですよ。その「またイチからかあ」って飲むハイボールが、いちばん美味い!(『アメトーーク 競馬って面白いよ芸人』)

仲良しコンビ千鳥

高校の同級生だった大悟とノブは、今でも仲が良いコンビだ。

昔は仲の良いコンビ芸人などはめずらしくて、おぎやはぎのようにそれをネタに出来るほどだった。

しかし今はむしろ仲良しコンビ芸人のほうが多く目に付く。

千鳥を筆頭に、サンドウィッチマン、華丸大吉、三四郎、カミナリ、ミキ、ジャルジャル、ガンバレルーヤ、アキナ、ロバート、オードリー、バナナマン、チュートリアルなどなど、売れている芸人ほどその傾向が強く、まるでコンビ仲が良くないと売れない時代かのようだ。

千鳥にもそのコンビ仲の良さを窺わせるエピソードがある。

宮迫:コンビ同士でその、誕生日のプレゼントやなんやら、したりするんですか?

ノブ:楽屋でね、大悟とマネージャーがイチャついたりしてんすよ。マネージャーの女の子が、「大悟さん、きょう誕生日ですね」みたいな。「ああ、そうじゃのう」とか言ってるのを、おれはこう「ふーん」とした顔して、心の中で、「おめでとう」(笑)

大悟:おめでとう、言うとるやないか(笑)

ノブ:心の中で、ですよ(笑)(『日曜もアメトーーク コンビ芸人ホームルーム』)

お笑い界の天下を獲ろう

ノブ:おれもう、これ今日一番言いたかったんですけど。大悟ね、小宮と最近よく飲みに行ってるんですけど、仲良くしてるなあとは思って、「どんな話してるの?」って小宮に訊いたら、「だいたいお笑いの話で熱くなるんですよ、大悟さんが」みたいな。「へえそうなん、どんな話?」って訊いたら、「今はお笑い界の底辺だけど、頑張って2人で天下獲ろうな、とか言われたんですよ」って小宮が。「天下獲ろう」? その言葉はおれ以外に使うな!!(笑)

大悟:それは、千鳥と三四郎でっていう意味やろ(笑)わしと小宮で2人じゃないやん(笑)

ノブ:わしは言わんよう! わしは相田と飲みに行くけど言わんよう、そういうことは。

大悟:わしも相田とやったら言わんよ(笑)(『日曜もアメトーーク コンビ芸人ホームルーム』)

ノブがいちばん面白いツッコミ・ノブがいちばん面白いツッコミ

大悟とノブは、仕事の現場から現場への移動時は別々の交通機関を使って、ひとりの時間をつくるようにしているという。四六時中一緒で息が詰まるような状況を避け、コンビ仲が悪くならないようにするためだ。

インタビューでも、大悟は「ノブがいちばん面白いツッコミだと思っている」と答え、ノブは「ç」と素直に語る。

大悟からノブへ 好きなところ100

千鳥がレギュラーとして出演する関西ローカルの番組『今ちゃんの「実は…」』の2018年9月5日の放送の〈大悟からノブへ 好きなところ100 BOOK〉は、これまで一度も言ったことのない、「ノブの好きなところ」を大悟が本音で100個書き出すという企画だった。

小藪:ノブから大悟やったらまだイメージ湧くけども、大悟からノブっていうのは…

ノブ:まったくそういうこと言わないから。

大悟:言わないし、テレビでも言ってきてないし、そういう企画はほとんど断ってたんで。

この100項目には、大悟のノブへの想いにとどまらず、2人が歩んできた道のりと、千鳥の武器と魅力が凝縮されている。

番組でもすべては紹介されなかったが、確認できた分のすべてを紹介したいと思う。

《大悟からノブへ 好きなところ100 BOOK》

1 目が細いところ

2 クサくないところ

3 ずっと髪が黒いところ

4 一番多い髪型をしているところ

5 鼻の穴が四角いところ

6 おもしろ顔で口を開けるところ

11 ツッコむ時の顔

12 おもしろ歩き

13 たまに親に敬語なところ

14 すぐカゼをもらうところ

15 「もうええ」の言い方

16 クサッの言い方

17 イテェーの言い方

18 ヤメェの言い方

19 「すな」の言い方

22 ほとんどのサインには「夢一つ」とそえないところ

23 マネージャーにやさしいところ

24 メチャクチャ大げさなところ

26 きれいになろうとしてるところ

27 休みの次の日に新しい服で来るところ

31 しっくりくるクツに出会えてないところ

32 カッコつけないところ

35 人を好きなところ

36 人から好かれるところ

37 家族を大事にしてるところ

40 子供にやさしいところ

41 タバコを吸ったりやめたりしてるところ

42 いただきますを言うところ

43 好きな映画「アルマゲドン」と言うところ

44 争いが嫌いなところ

45 エラそうにしないところ

46 アイドルを好きなところ

52 濃いいメシを美味いと思っているところ

53 大成功しないところ

54 面白くない時の笑い方がバレるところ

57 カレーが好きなところ

58 実家のカレーがマズいところ

59 大阪が好きなところ

60 東京がもっと好きなところ

61 ビビリなところ

62 人に対してはビビらないところ

63 高校の時と変わらないところ

64 高校の時、チャリで3時間かけて学校まで来ていたところ

65 高校の時、3日休んで痔の手術をしたところ

66 高校の時、ラブレターを書いてたところ

67 高校の時の彼女と結婚したところ

68 初キスが3時間だったところ

70 運が強いところ

72 ツッコみは基本怒っているところ

73 よく笑うところ

74 芸人が好きなところ

75 お笑いが好きなところ

76 おもしろい物が似てるところ

78 変な名前に反応するところ

79 変な土地名に反応するところ

80 変な食材に反応するところ

81 漫才中、遊ぶところ

82 ツッコミが短いところ

83 同じ言葉でツッコんでくるところ

84 ボケたら絶対ツッコんでくるところ

85 ボケてもないのにツッコんでくるところ

87 誰の犬でも「クセェ」と言うところ

89 「おもろない」ってすぐ言うところ

90 「長げぇ」ってすぐ言うところ

91 ワシ以外の「おもろない」と「長げぇ」にはやさしいところ

92 大きくスベるところ

93 「クセがすごい」を大きい声でちゃんと言うところ

94 きよし師匠の時だけモノマネをするところ

95 屁の音の表現が「ブゥー」なところ

96 面白かった時の言い方は先輩でも「さん」を付けない

97 デカいテレビを見るとなんでも「レグザの100じゃ」と言うところ

98 「バカにしとる」を「ッバカにしとる」と言うところ

99 困ったら「うんこ」と言ってしまうところ

100 高校の文化祭で司会をしてメチャクチャスベった時「中山のヒデちゃんはすごい」と言ったこと

最後の100番目のは少し説明がいるだろう。

前述の高校時代、文化祭の司会をして全校生徒の前でスベり倒した後、司会というものをナメていたことを2人で反省しながら、「ヒデちゃん(中山秀征)てスゲえんだなあ」と呟いたという。

ノブはこのときのショックで芸人になることをあきらめてシャープに就職し、逆に大悟はこれが悔しくて、芸人になろうと決心した。

千鳥の2人にとって忘れられない重要な思い出のワンシーンを、大悟は〈ノブの好きなところ〉の最後に挙げたのだった。

千鳥の未来

90年代にダウンタウンがお笑い界で天下を獲って以来二十年余、初めてその牙城を揺るがすような売れ方を千鳥はしている。

ボケでもツッコミでも笑わせる技術とセンス、唯一無二のロケ、ひな壇での瞬発力、そして二人の仲の良さによる視聴者の共感や感情移入など、ダウンタウンにはなかったものも千鳥は持っている。

ダウンタウンを超えるなどというイメージではないが、今の時代に求められるお笑い芸人像にまさにぴったりの、最強コンビなのだと思う。

レギュラー番組は増えているものの、代表作となるような冠番組を作るのはまだまだこれからだ。

お笑いに特化した冠番組も見てみたいし、下積み時代が長かったゆえにどんな仕事でもこなすオールマイティなバラエティ芸人となった彼らの、幅広く仕事をこなすタレントとしての姿もまだまだ見続けたい。

ただ願わくば、千鳥には台本を与えないでほしい、と思う。

恩人、トミーズ雅

大阪で千鳥がハネたのは、トミーズ雅MCの『せやねん!』で、台本なしのロケ〈千鳥弁当〉を務めてからだと大悟は語っている。

大悟:めちゃくちゃ自由にやったのを雅さんがこっちのほうがええって言ってくださって「千鳥にもう台本もなんも渡すな、決めずにやらせ」みたいな。ほんで、そっからそれが面白いってなって、大阪のほかの番組もどうぞご自由にみたいな。(中略)作家が考えたセリフをもし僕が読んでたら、3本その仕事したら僕もう終わると思いますよ(笑)そんぐらいおもんないっすから。(クイック・ジャパン No.136)

現在抱えているレギュラーも、千鳥に自由にやらせている番組はやはり面白いし、企画のほうがガッツリ作られていて千鳥の自由度が少ない番組はやはり面白くない。

CMなどでも、これは台本なしの2人のアドリブか、台本のセリフを言ってるのかの違いはすぐにわかる。

台本通りに喋る大悟やノブには違和感しか感じないし、面白さは微塵もない。

海に囲まれた島で育った大悟と、山に囲まれた大田舎で育ったノブには、野を駆け回って好きなことだけして遊んでいる少年のように、いつまでも自由でいてほしいと思う。

そんな千鳥にわれわれは大笑いし、共感するのだ。