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【芸人2.0】ピース、キンコン西野、ウーマン村本、くっきー テレビの外へ漕ぎ出す新世代の芸人たち

芥川賞作家・又吉とアメリカへ渡った綾部のコンビ、ピース。

絵本でビッグヒットを創り、新世界のマーケティング・バイブルというべき革命のファンファーレを執筆、さらにはレターポットなるサービスを開発するなど、起業家・インフルエンサーとしても才覚をみせるキングコング西野亮廣。

2017年末、革新的な漫才でSNSの話題を総ざらいしたウーマンラッシュアワー村本。

アート作品のヨーロッパ進出を見据えたクラウドファンディングが成功を収め、世界へ羽ばたく狂気の芸人、野性爆弾くっきー。

いま、芸人の生態にもパラダイムシフトの波が押し寄せている。

「芸人風」テレビタレントとして生きるか、生き方としての「芸人」を選ぶか

「お笑い一本」のストロングスタイルを目指す芸人が活躍しづらい時代。そもそも純度の高いお笑い番組もキングちゃん、ゴッドタンなど数えるほどしかない。

そのゴットタンのなかで、ハライチ岩井は嘆いた。

「おれらの思う100点のお笑いがあるじゃないですか。でも、ゴールデンとかのバラエティのお笑いって、30点ぐらい出せばいいんですよね。それがちょうどいいんですよ。その30点を、100点だと思ってる芸人が売れるんですよ。」

めちゃイケ終了に際し、極楽とんぼ加藤浩次はラジオでこのように発言している。

「めちゃイケが終わったら、狂犬加藤浩次を発揮する場所もなくなる。そもそも今のテレビ界は狂犬キャラを求めていない。」

生粋のお笑いファンでありテレビっ子だった筆者は、芸人がこんな風に嘆く現状を寂しく感じる。

しかしこの生態系の変化こそ、冒頭で挙げたような新しい活動につながっているのでは、とも思うのだ。奇しくもピース、キングコング、ウーマンラッシュアワーは同期である。己の表現を追求している芸人たちが同世代というのは偶然だろうか。

テレビで売れる、黄金の方程式

今のバラエティの仕組みは、BIG3やダウンタウン、とんねるず、ウッチャンナンチャンといった、所謂「お笑い第3世代」以前の芸人たちの時代に出来上がったものだ。

ネタで力をみせ、深夜の番組をヒットさせる。やがてゴールデンに躍進しスターへと登っていく。業界全体でスターを生み出す機運と、それを可能にする影響力が、かつてのテレビ界にはあった。

若手芸人のサクセスストーリーもフォーマット化された。

大御所の番組ひな壇で笑いをとり、アメトークやロンハー、しゃべくり007などトーク番組で輝きをみせる。活躍すれば、すべらない話やIPPONグランプリ、27時間テレビなどのお祭り番組に呼ばれる。そして私たち視聴者は「あいつ面白いよね!」と目をつけた「推し芸人」がスターダムを駆け上っていく様子に心酔し、高揚するのだ。

しかしこれらはいずれも、旧世代のレガシーだ。散々楽しませてもらっておいてこんなことを書くのはおこがましいが、この「若手芸人サクセスフォーマット」は崩壊しつつあるのではないかと思う。

テレビで売れるための道筋は変わりつつある。それどころか、テレビで売れることの価値自体が薄くなっているからだ。

「テレビで売れる」価値が薄れた3つの要因

まずフジテレビの凋落。かつてのバラエティの巨人に力がなくなった。

ごっつええ感じやめちゃイケの黄金パターンは、はねるのトびらでも、ピカルの定理でもうまく機能しなかった。フジのゴールデンがバラエティのゴールだった時代は終焉を迎えたのだ。そんな事実を象徴が、笑っていいとも! めちゃイケ、みなさんのおかげですなど怪物番組の終了ではないだろうか。

次に規制の波。コンプライアンスの鎖はテレビ界にも巻きついた。攻めた企画も発言も自主規制されるようになり、テレビはいつのまにかトレンドを発信するメディアではなく、追いかけるメディアになってしまった。

そしてインターネット。ネット台頭とテレビの衰退の相関性については、今さら触れても仕方がないので割愛する。

とにかく、これらの要因が絡まり「テレビで売れる」ことの価値は薄れたのだ。枯渇した砂漠で生き残るには、先人の作った枠組みのなかでうまくやり抜くしかない。トークや大喜利、企画に順応し、制作サイドや視聴者の求める役割を演じるタレント。企画や番組のお笑い度数が高ければ、それでも楽しめる。たとえば水曜日のダウンタウンの企画は最高だし、キングちゃんは「1週間待ち焦がれてテレビを観る」という懐かしい感覚を思い出させてくれる。

だがひと握りの番組でしか、芸人がお笑いの牙を全開にする姿が見れないのはやっぱり寂しい。

芸人たちは、新しい地へ

ゴールのなくなった窮屈な業界。面白いものを作れない規制。他の娯楽にクリエイティビティで遅れをとっている、という風潮。テレビで売れることは芸人の才覚を示すものではなくなってしまった。

では、芸人の才能は衰えているのだろうか。

とんでもない。

お笑いは更新され続けている。

これが20年近くお笑いを見続けてきた純粋なファンの意見だ。お前は何様だと言われても構わない。

たしかに「もっとも面白い芸人」や「1番面白かった番組」となれば、松本人志、そしてごっつええ感じを超えるものには出会っていない。

けれど全体の平均値は現代が一番高い。漫才やコントはより深く、より多様なものへと進化している。有名な芸人はもはや誰もが面白い。

先日観た野性爆弾くっきーと千鳥大吾、天竺鼠川原によるトークライブでは、「俺ってこんなに笑えるんだ」というくらい、2時間ぶっ続けで笑わせていただいた。あのライブのチケットが3,000円だったと思うと、引くほど安い。

また、Amazonプライムのドキュメンタルは、近代お笑い史の到達点とすら感じる。

つまり衰退したのはテレビというプラットフォームだけであり、芸人は未だ最高のクリエイターなのだ。

キングコング西野が定義した芸人の概念

キングコング西野は著書のなかで、新しく芸人をこのように定義している。

「人が右に行っている時に、こっちの方向もあるよ、と左へ進んでみるやつ」

まさに彼らが進んでいる荒野は、これまで正解とされてきた芸人道とは別の方向にある。しかし人と違うことをしてしまう狂気にこそ、芸人の輝きは宿る。

問題用紙を創り始めた

才能のある芸人たちは、テレビという開拓され尽くした島を出て、テレビ画面の外へと船を漕ぎ出している。その先頭をいくのがピースキンコン世代の芸人たちであり、野性爆弾くっきーであり、渡辺直美なのではないだろうか。

新世代の芸人たちは旧世代が作ったプラットフォームで高得点を目指すのではなく、新しい問題用紙を作りはじめた。芸人の概念をアップデートして、別の何かへと進化させている。

きっとまだまだこの先、新しい表現に出会えるはずだ。芸人のいる国に生まれて本当によかった。