お笑い好きによる、お笑い好きのための、おすすめお笑い動画『今田×東野のカリギュラ』
(Amazonビデオ・プライム配信)
禁止されるとやってみたくなる
今田耕司と東野幸治のMCによる、Amazonプライム・ビデオの番組『カリギュラ』は2017年6月より配信が開始されました。
「カリギュラ」とは、「禁止されるとやってみたくなる心理現象」という意味の「カリギュラ効果」から取られています。
この番組のコンセプトは、「マニアックすぎて視聴率が見込めない」「コンプライアンス的にNG」「くだらなすぎる」などの理由で地上波では放送できない企画を実現するというもので、まさにネット配信専用だからこそできる番組です。
地上波ではあり得ない、自由で不適切な番組
番組冒頭の、今田と東野によるオープニングトークでも、大テレビ局の社名やタレントの実名を出してディスったり、オセロ中島をイジったり、Amazonプライム・ビデオの裏側を暴露したり、下ネタ用語などもバンバン出したりしますが、一切ピー音も入らないので、普段見ているテレビの感じと明らかに違う自由度に、なんだかゾワゾワするような感覚に襲われます。
松本人志の『ドキュメンタル』でもそうでしたが、番組冒頭の「当番組は番組の性質上、ご覧になられる方によっては一部不適切と感じられる場面がございます。あらかじめご承知のうえ、お楽しみください」というテロップには、不謹慎かもしれませんが、逆に期待だけが煽られ、ワクワクしてしまいます。
多彩な不謹慎企画
『カリギュラ』は全20話が配信されましたが、その内容は大きく5つのテーマに分けられます。
- 東野が狩猟と獲物の解体を体験する
- 芸人の親を詐欺にかける
- 芸人がドッキリ企画を考案し、自らそのドッキリにかかる
- ケンドーコバヤシによる過激なエロ企画
- その他の単発企画
それでは、ネタバレにならないように気をつけながら、番組の大まかな内容と、視聴しての正直な感想を書いてみたいと思います。
1.東野、鹿を狩る
『カリギュラ』を一躍有名にし、番組のメインとなったのがこの企画です。
これは、実際に東野が日テレのレギュラー番組に提案しながら、採用されなかった企画だそうです。
本職のハンターと東野が、北海道の山林で鹿を探し、狩猟をし、解体して食べるところまでを追ったドキュメンタリーです。もちろん、モザイクやボカシは一切入っていません。
東野は猟銃免許を持っていないので、ハンターが鹿を撃ち、東野がその場で血抜き処理をし、死体を引きずりながら下山します。
解体工場ではハンターの指示に従い、東野が鹿の腹を裂いて内臓をつかみ出し、皮を剥いで肉を削ぎ落していくところなどを克明に映していきます。
今の時代の地上波では、滅多に見ることができない衝撃映像の連続です。
また、狩猟の足手まといとなっていく撮影スタッフに本職ハンターがキレたり、険悪な空気も包み隠さず放映しているところもドキュメントとして面白いです。
東野自身が狩猟に興味を持ち、自ら志願した企画でしたが、撮影初日はハンターの自宅で、生きた食用ガエルをベランダの手すりに叩きつけて気絶させ、一気に皮を剥ぐところを見せられて顔色を変えてビビっていました。「やってみる?」と言われても「絶対イヤです!」と言っていたぐらいです。
そんな東野が鹿の首に自らナイフの刃を立て、腹を裂いて内臓を取り出していく姿は極限状態の中で追い込まれながら人が変わっていく様を見ることが出来ます。
その映像の迫力や緊張感もさることながら、狩猟という原始的な命のやりとりを見ながら、生きるとは何か、生き物を殺して食べるとはどういうことか、という根源的なところにまで思いをめぐらせてしまうような、深い番組でした。
「すべての生き物は、べつの生き物を食べることで生きていける」「スーパーに並んでいる肉だって、だれかがこうやって解体してるんだ。それを金で買ってるだけ」というハンターたちの深い言葉が胸に刺さります。
「生きている鹿を殺して食らう」という一見残酷な、衝撃映像バラエティのような番組にもなりかねないところですが、そこはハンターたちの命のやりとりに対する高い意識や、東野幸治の真剣さによって、素晴らしく意義のあるドキュメントになっています。
「命をいただきます」と感謝の言葉を自然に口にし、つい数時間前に死んだばかりの鹿のことを想いながら、鹿と神様に感謝しながら最高の肉を食べる姿は、それこそ本来の、生き物が生き物を食べて生きていく、正しい姿だと思いました。
日頃からあたりまえのように、感謝の気持ちも忘れて肉を食べているわれわれの方がよっぽど残酷なのではないか、とも思うほどです。
バラエティの域を超えた、本当に素晴らしいドキュメンタリーだったと思います。
この企画は第2弾もあり、今度は猪を、罠で生きたまま捕獲するという狩猟を東野幸治が体験します。
ここではついに東野が、自らの手で猪を殺めます。
こちらもまた壮絶ですので、ぜひ見て欲しいと思います。
2.うちの親は大丈夫!
芸人の親を、リアルな詐欺にかける、というドッキリ企画です。
ドッキリと言っても、やっていることは実際の犯罪とほぼ同じことなので、地上波で出来るはずがありません。
オレオレ詐欺の実態を調査している専門家の集団がこの企画では詐欺チームに扮して、タレントが見ている前で、その親を騙し、詐欺にかけていきます。
ターゲットの大半は意外と簡単に引っかかってしまい、焦ってパニックになっているのか、個人情報をペラペラと喋ったり、芸人の息子の生々しいプライベートを暴露したり、簡単金を渡したりしてしまいます。
最初は「うちの親はそんな簡単に人を信用しないから大丈夫」と言っていた芸人たちも、だんだんと表情が変わり、ショックの色を隠せなくなります。
母親を目の前で詐欺にかけられたとろサーモン久保田は「こんなリアルなん!? 引いてるよ、おれ。おれが引くってあんまないよ。オレオレ詐欺なんて絶対したらあかん!」と憤りながら話していました。
中にはターゲットが撮影中に110番通報したため、猛ダッシュでネタバラシに行く緊迫の場面もあり、ひとつ間違えば大ごとになりかねない、リアルすぎるドッキリ企画です。
親が詐欺にかけられる芸人は、とろサーモン久保田、ジャングルポケット太田、ダイノジ大地、シソンヌ長谷川、しずる村上、ライス関町、FUJIWARA藤本です。
3. 自作自演やらせドッキリ
ドッキリは、芸人たちにとっては自分を面白くしてくれる「おいしい」企画ですが、最近の地上波では規制が厳しくなり、ドッキリも過激さが失われつつあります。
そんな状況を物足りなく感じている芸人たち自身が、自らのアイデアで、地上波ではできないような過激なドッキリを仕掛け、それに自らがかかっていきます。
「自分で用意したドッキリに自分でかかってウソのリアクションをして、なにが面白いの?」と最初は思ってしまうのですが、これが、見てみると予想以上に面白いです。
芸人たちが考えた、地上波ではできないほど過激なドッキリというものがまず見ものですし、それに自らかかって見せる芸人は、やらせの演技だとわかっていても面白い、さすがのリアクション芸で、笑わせてくれます。
自らドッキリを考案してそれにかかっていくのは、オードリー春日、ロバート秋山、バイきんぐ小峠の3人ですが、中でも秋山の、コントの演技ではない迫真のリアル演技、小峠の体当たりの超危険なドッキリには特に注目です。
あらためて芸人て凄いなと、思わせてくれます。
ドッキリをやり終えて、春日が言っていた、「今田さん、東野さん、これがわたしのやりたかったことです。いやあ、いい機会を与えてくれてありがとうございました。最高でした。ものすごい額のお金がかかったみたいです。すいません!」と、びしょ濡れになりながらも満面の笑みで嬉しそうに語る清々しい表情がとても印象的でした。
4. 教えてシリガール ~美女のイケないレッスン~
ケンドーコバヤシのプレゼンによる、「セ〇クスレス大国・日本を救うため、セ〇クス上級者・シリガールたちからセ〇クスの素晴らしさを学ぶ特別授業」という企画です。これも当然、地上波では無理な企画です。
内容はとにかくド下ネタ。経験人数数百人というシリガールたちが、その体験エピソードなどを赤裸々に語ります。世界的に有名なサッカー選手と3Pをした経験まで克明に語る猛者も現れました。
そして収録が終わった後は、番組の童貞ADが、試しにシリガールたちの楽屋を訪れ、実際にお手合わせを頼んでみるというおまけつきです。
果たして結果やいかに!
5.訳あって地上波ではなかなか会えない、あの人は今!? ~後藤祐樹編~
その他の単発企画でもっともインパクトのあった企画がこれ。
元モーニング娘。の後藤真希の弟で、EE JUMPというグループで歌手活動もしていた後藤祐樹がゲストに登場します。
両腕と首に派手なタトゥーを入れたその姿にまず驚きますが、アイドル時代の問題行動と引退、その後犯罪に手を染めて逮捕されたこと、刑務所で過ごした5年間の壮絶なイジメなど、再現VTRも織り交ぜながら、波乱万丈の半生のすべてを克明に語ります。
『しくじり先生』など、芸能人が自らの過去のしくじりを語る番組は増えましたが、ここまで激烈なしくじりを語る芸能人を見たことはありません。
言わば「地上波で放送できる範囲を超えてしまった、『超しくじり先生』」のような番組です。
お笑い芸人たちが本当にやりたかった番組
実際のところ、全20話もありますので、「ホームレスインテリクイズ王決定戦」などの大失敗企画もあります。
また、くだらなすぎて飛ばしてしまった回もありましたし、ちょっと見てられないほど可哀相すぎるドッキリ企画などもあり、すべてが面白いというわけではなかったですし、企画によって好き嫌いも分かれると思います。
それでも、地上波の番組ではできないことをやろうと果敢にチャレンジする番組の姿勢は素晴らしいですし、実際に地上波では見ることのない過激な映像の連続に、ハラハラドキドキさせられる場面も多々ある、新鮮なバラエティ体験ができました。
そしてなにより、お笑い芸人たちを愛する筆者にとっては、芸人たちが水を得た魚のように本当にのびのびと、体を張りながらも嬉しそうに企画に臨んでいる姿を見るのも楽しかったです。
もっとも、中でもいちばんノリノリで楽しそうだったのはMCの今田と東野でしたが。
最近の地上波のバラエティはおとなしくなりすぎてつまらない、と思われている方にはぜひお薦めしたいと思います。
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