レジェンド芸人たちが語る松本人志【内村・紳助・さんま・志村けん・とんねるず】

明石家さんまの名言、格言まとめ68選!人生を前向きに生きるお笑いモンスター語録!

40年以上にも渡ってお笑い界のトップを走り続ける、“お笑い怪獣”こと明石家さんま。

彼はなぜトップを走り続けられるのか、お笑いという仕事をどう考えているのか、どんな人生観を持っているのか。

謎多きお笑い怪獣が語った裸の言葉には、人生を深く見つめる男の姿がありました。

そんな明石家さんまの名言・金言をまとめてみました。

明石家さんまが語るお笑い、テレビ、人生観

女は出世が早い

明石家さんまが17人の人気女芸人と1泊2日の旅行をしながら、人生観やお笑い論を語った番組『さんま&女芸人お泊まり会』にて。さんまは毎年仲間とオーストラリアに旅行に行くが、彼女や狙っている女性を連れて行くことは今はないと語る。

さんま:彼女を連れてったことは何回かはあるねんけど、逆に気ぃ使わすから。女って、気ぃ使われると初めは「いえいえ」とか言っときながら、出世早いのよ(笑)

光浦:ねえさんヅラする女いるね(笑)あれダメ。

さんま:ホンマに、あっという間に、1日ですごい出世するから(笑)周りがおれの彼女やいうだけで、ものすごく大事にしてくれるでしょ。それに乗っかってまう女はイヤやなあ。

光浦:そんなんはすぐフッてくださいよ。

さんま:もう、別れるな、ホンマに。

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

ブロードウェイ

さんまは若い頃からアメリカに憧れ、ニューヨークには毎年行っていると言う。

さんま:ニューヨークは26から毎年やから、もう35年。

オカリナ:うわ、すげー行ってる。

さんま:すげー行ってて、ミュージカルとか観に行くんやけど、すげー役に立ってないのわかるやろ(笑)参考にならへんねん。金の使い方が違いすぎるから。「ああ、ああいうことやりたいなあ」と思っても、もう桁が違いすぎるから。

全員:はー。

さんま:ブロードウェイの照明さんと日本の照明さんは同じオレンジなんやけど、観てる方は違うオレンジに見えんねん。なんでアメリカはこのオレンジ出せて、日本はなんで出せないんだろうって、今でも思ってる。

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

17で頂点に

安藤なつ:学生の頃から人を笑わせたいと思ってたんですか?

さんま:ずっとやってた。小4から漫才始めて。その後ピンになって。ていうのもおかしいけど(笑)

安藤:早くないですか?(笑)

さんま:おれが小学校の時、面白いネタ作って、友達の岡田いうのにボケをやらして。でもそいつが面白いっていうことになんねんな。悔しなってきて、おれが作ったネタやのに。その悔しさに、小学校の時にぶち当たってんねん、壁に(笑)

安藤:人生で一番最初に笑いをとったなっていうのはいつぐらいですか?

さんま:小っちゃいときからやな、長男ばっかり大事にされて、親戚も長男ばっかり大事にするから、なんとか兄貴に勝ちたかったっていう。ほいであのときはたぶんおちょけてたんやと思うけど。人の目をこっちに向けたかった。

光浦:モノマネとかしたんですか?

さんま:モノマネもしたなあ。高2の時は独演会とかさせてもろたけど、体育館で(笑)

ゆりやん:ずっと爆笑ですか?

さんま:もう、越えられへん。あの17の頃が頂点やねん。

大久保:じゃあ、人を笑わせることをもう50年ぐらいしてるってことですよ。

さんま:うん、がんばってる。

大久保:いやあ、泣けてくる。ずっと人を、50年笑わせ続けてる人生って。

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

いちばん高価なもの

オカリナ:さんまさんのお宅で一番高価なものを教えてもらうことできますかね?

さんま:高価なもの? たぶん、おれやと思う(笑)

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

嫌なことを楽しいと思う

森三中黒沢:さんまさんが神に頼る時ってどんな時なんですかね。

さんま:死ぬ間際だけやねん。

全員:へーっ。

オカリナ:死ぬ間際になんで頼るんですか?

さんま:「もうちょっと長生きさしてくれ」だけやんけ。

黒沢:へー。すごい。

さんま:それまでに神様に安くお願いしたら、いざというとき言うこときいてくれへんから。「おまえ、またかい!」ってなるやんか。「おまえめずらしいな、おれに頼み事って」って言わしたいねん。

黒沢:神様にも言わしたいんだ(笑)

さんま:そうそうそう(笑)

いとうあさこ:お参りとか行かないんですか?

さんま:行かない、行かない。

いとう:初詣は?

さんま:行ったことない。

全員:ええーっ。

たんぽぽ白鳥:厄払いは?

さんま:行ったことない。

黒沢:嫌なこととか起きないんですか?

さんま:起きてるよ、いっぱい。

黒沢:それでもお参りしないんですか?

さんま:嫌なまま、ダメなまま過ごすほうが楽しいと考えろって言うてんのにやな。嫌なこと楽しいと思えたら、あと何があっても平気やねん。

いとう:強いなあ。

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

https://www.instagram.com/p/BjPmWpxBSd3/?tagged=%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%AE%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BE

「おれはもう、終わってるよ」

バービー:成功者・明石家さんまさんとして、これだけ長い芸歴の中で、モチベーションを下げずにずっと仕事をしていられるのはどうしてですか?

いとうあさこ:モチベーション下がったことあるんですか?

さんま:本人としては、ないよ。1日1日やからな。

オアシズ大久保:プライベートで下がることないですか?

さんま:それは結婚した時や。もう疲れて疲れて、いったん家に入ろうというとき。おれ、仕事減らしたやないか、結婚した時。子育てもあったし。でもMANZAIブームの時もそうやったけれども、トップランナーやと思てる人の背中が見えてたから、安心してた。

全員:へえーっ。

さんま:自分ではやで、世間はどう見てたか知らんけれども。背中見えてるあいだは休める。それからは休んでないよ。毎日一生懸命やってるよ(笑)

黒沢かずこ:さんまさんが思う、売れるって何ですか?

さんま:仕事がいっぱいあって、それを続けられるっていうことやろ?

黒沢:何年ぐらい続いたら?

さんま:そやなあ、10年一区切りやろなあ。

ゆりやん:10年経ってもまた、まだまだ…

さんま:また、次やねん。人の欲は尽きないからやな、もっと売れたいとか、もっと面白くなりたいとか、あるやろ。

大久保:さんまさんはあと何年売れるんです?

さんま:おれはもう終わってるよ(笑)

いとう:終わってはないでしょ!?

さんま:いやいや、自分では終わってると思ってる。この年齢やし。

黒沢:どういうところがですか? 瞬発力とかですか?

さんま:いや、もうええやろっていう。

オカリナ:やりきった感ですか?

さんま:やり切った感は一生ない、ない。

大久保:だって数字も取れるし、絶対的に面白いっていうのもありますし。

さんま:今はね、世間はそう思ってくれてはるやろけれども。終わったつもりで、いま一生懸命頑張ってる。

引用元:『土曜プレミアム さんま&女芸人お泊まり会~初めて後輩に語る、62年走り続けた男の人生哲学~』2018年5月26日放送回

 

誰も知らない明石家さんま

2017年11月放送の日本テレビの特番『誰も知らない明石家さんま』にて。
NGなし、すべてガチで答えるロングインタビューの貴重な記録。

 

――今まで付き合った女性芸能人と、素知らぬ顔で共演したことありますか?

ある(笑)

実際の別れ話の時に言ったのと同じようなセリフが書かれてて、「おまえ、作家に言うた?」みたいな話をして。「言うわけないじゃん!」っていう、不思議なことがあった(笑)

――バラエティとかでもありますか?

あります。

一度、日本テレビさんにも多大な迷惑かけて。

ある女優さんと、何年かぶりに会うたんですね。

『踊る!さんま御殿』のプロデューサー、スタッフ、みんなで打ち合わせしてるときに、コンコンってノックして「あなた~♡」って言いながら入ってきたんですよ。

スタッフは全員うつむいて(笑)

僕みたいなポジションの人は、近場とか、共演する可能性のある人は口説いちゃダメ(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

弔辞を読んでもらいたい人は?

たけしさんやタモリさんに読んでもらいたいけど、おれより先に死にはるやろからな(笑)あとは、娘。

弔辞やなくて、おれは祝辞にしてほしいんです。ここまで生きてきたっていうめでたいことやから。

「生きてるだけで丸儲け」だった人が、今もう死んでる言うてね、IMARUに最後、メッセージひと言でいい。

あと、夢なのは、出来る限り僕の昔の彼女を集めていただいて、棺桶の横に並んで歌を歌ってほしい。西野カナちゃんの「ダーリン」でもいいし(笑)

歴代の彼女に、ほんとに感謝したいし、見送ってほしい。

ほんとなにもやってあげられなかったけど、最後は集まって、仲良く語り合ってほしい。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

「なんでこの人売れてるんだろう?」と思う芸能人は?

「なんで売れてんのやろう?」っていうのはないですね。

「なんで売れたんや、おまえら!」っていうのはあるけど(笑)

ライバルが1人でも増えるのが嫌やからな。

――なんとなく、「この人、売れるな」っていうのはわかるんですか?

そりゃもう、わかるわかる。

売れる人は、絶対何か持ってる。経験上。

何か持ってる人はいつか売れる。時期がずれても。

芸能界はスゴい。何か持ってる人は必ず売れてるんで。

ディレクターもわかるやろ? こいつアカンなとか。

――わかります(笑)

カメラマンもそやろ?

――はい。

おれらもおれらの世界でわかる(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

10年後、お笑い界のトップになっているのは?

おれらみたいなタレントが育たないような環境になってきてるのは事実やけど、すごい優秀、みんな。

若手でも凄いやつ、上手いやつ、いっぱいいるけど、上手すぎると思う。粗いほうが面白い。

だから、10年後…、いまおれがお笑いのトップとしたらやで、10年後もおれ(笑)

72歳ならいけると思う。

あと10年は頑張れるかも。

だから、粗削りな笑いにまた挑戦したいんやけど。

このままではまとまりすぎると思う。

もっと思い切ったことをやっていたからね、昔は

そこの時代にもういっぺん戻りたいなとは思いますけども。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

人生最後の瞬間は何をしていたい?

まだ、おれたぶん、死ぬとは思ってないと思うねんけども、ギリギリまでおれは助かると思い込んで、最期の瞬間、「おれは助かる」と思って死んでいくんちゃうかな。

ただ、もしできることなら、オッパイは触っておきたい(笑)

きみらが想像してるより、オッパイ本当に好きなの。いやらしく触るのが好きなんじゃなくて、オッパイが好きなの。

あと、誰かの脚、持っときたい。

――脚?

その人一生忘れんやん。死人に脚持たれてるから。

「怖かったー。死ぬ直前に脚つかみよった」言うて。

できれば2本。

1人でも、おれのこと憶えといて欲しい(笑)

絶対忘れられへんやろ(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

人生で緊張したことありますか?

あるわ!(笑)

緊張するに決まってるやろ。

最近はもう、緊張してられない時期に入ってるんでな、途中から。責任ある番組とか、自分がメインとか、それで緊張しない。

大物の人に会うと、まあそれなりに緊張するのかなあ。

菅原文太さんにサイン貰いに行ったとき。

芸能界に入ってから、空港でお会いして。

おれのこと芸能人て知らないだろうなと思って、サイン貰いに行って。

ほんなら向こうが「わしのほうが欲しいぐらいじゃ」って。

カッチョいい~って思ったね(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

人を殴ったことありますか?

ないない。人を殴ったことはない。

でも死ぬほどツッコミで人の頭を殴ってるけどな(笑)

日本で一番人の頭を殴ってると思うよ(笑)

――すごく腹が立つことはあります?

ないない、ないない。

嫉妬心がないから。人に対して。

自分を過信もしてないし。

「なんやねんこいつ」ってのはあるけど、すぐ「こいつアホやねんな」って思う。

やっぱり人を腹立たすやつって、アホやわ。

人を怒らすやつってやっぱり、アホ。

――そう思えば腹立たない?

立たない、立たない。

腹を立てる器でもない。そんなに偉くない。

腹立って怒る人は、偉いと思ってんのやろ、自分のこと。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

https://twitter.com/chiharu964tip/status/1002188884304801792

 

SNSでエゴサーチはしますか?

ないない、ないない。

いろんな悪口書いてんのやろ?

おれら、弱いのよね、悪口とか、批判とかに。

たぶんおれらの世代は慣れてないから。

もしボロクソに言われてたら、おれ、家つきとめて、一晩中太鼓叩くと思う(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

吉本を辞めたいと思ったことは?

ある。

「辞める」って言いに行ったこともある。

以前『行列』でも言うたけど、27歳の時、ほんとにもう吉本辞めようと思って、ジャニーさんに、フジテレビのメイク室で、「すいませんジャニーさん、ジャニーズに入れてもらえませんか?」って言うたら、メイク室のイスがクルッと回ってこっち見て「YOUはダメ!」って言われて(笑)

あのときおれは真剣だったんですよ(笑)断られましたね。

ほんでまあ、会社に不満もあったし、「辞める」って言いに行きました。

30歳だったと思う。

――説得されたんですか?

そう、説得された。

「辞めたいって噂は聞いてるけど、なにが不満やねん。ギャラか?」

「いえ、ギャラやないです」

「ギャラやろ。よっしゃわかった。2倍にしたる。え? アカンのかい。3倍は?」って。

「出せんのかい!」言うて。

会社が、今のギャラの3倍出せるってどういうことやねん、て思ったね。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

なんでも打ち明けられる親友はいる?

おれ、だいたいの人になんでも打ち明けられんねや(笑)

おれからしたら、全員親友。うん。

隠し事はせえへんから。初対面の人でも。

ただ、言えるのは、木村拓哉くんなんかは、ドラマで共演した時に移動が多くて、話すことが無くなって、墓場まで持って行く話のし合いしてて。

墓場まで持って行く話をひとつずつ交換してん。

向こうも、テレビはもちろん誰にも言えない話をしてくるから、おれもサービス精神かなんなのか、もっとスゴい話したったんや。

しゃべった後、おれなに言うてしまったんやろ思て(笑)

これ言われたら困んねん。だから大事にする(笑)

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

ビートたけし

東野:たけしさんがさんまさんのことを日本でいちばん面白いとか、こいつには勝てないっておっしゃってたじゃないですか。

さんま:言ってくれてたけど、それはおれに気を使ってくれたウソやねん。ホンマにおれは今でもたけしさんの背中見て走ってるから。おれ、たけしさんの顔見たことない、笑いに関しては、まだ。

全員:ええーっ。

さんま:まだまだ追いつけないやろー、たけしさんには。昔ね、たけしさんの本に書いてくれはったことがあったの。「テレビではこいつに負ける」って。もう、それは宝物やもん。ウソに決まってるんやろうけどな。あんたやないかい、って言いたい。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

生まれ変わっても芸人になる?

ああ、もうならない、ならない。

もう芸人さんにはなりたくないですね。

一度で充分、こんだけしんどいのは。

ポジション守るとか、維持するとか、しんどすぎるから。2度とやらないと思う。

たぶん、会社員になって、「プロになったらええのにー」「いえいえ僕なんか無理ですよー」って言いたい(笑)ほんとに。素人のスゴい面白い人になりたい。

お笑いは、もう一度って言われても、やらないです。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

プロとアマチュアの違いは?

ギャラいただいたらプロやろ。

面白さでは、素人に一発で負けるときあるからね、プロは。

でも、お金取れたらプロやと思いますけどもね。

――そのプロの中で、一流と二流の違いは?

一流っていうのは、品やと思うな。上品。

笑いの上品な人は一流やと思う。

だから、「さんまさんのお笑い、上品だよね」とか、言ってくれると、すごい嬉しい。

引用元:『誰も知らない明石家さんま』2017年11月26日放送

明石家さんま×千原ジュニア

『明石家さんちゃんねる』にて。芸人と2人きりで本音トークをする〈さしめし〉のコーナーに千原ジュニアが登場。

さんま:ジュニアと1対1で喋るの初めてかな?

千原:そうです。

さんま:いっぺん兄貴の携帯に電話したら「アホ!」言うて切られたから、千原兄弟には電話しないでおこうと思てたんや。

千原:いやまさか、さんまさんから電話かかって来るとは思わないじゃないですか。完全にいたずらや思ったんでしょうね、「二度と電話してくんなあー!!」言うたらしいですね。

さんま:(笑)

千原:ぶっちゃけで、今さんまさんから見てはって、若手でこいつとこいつとこいつやなっていうの3組ぐらいあげるとしたらだれですか? 10年後はこの3組やなっていう。

さんま:みんなに、頑張ってほしい(笑)

千原:そんなんいいんですよ(笑)だれですか、3組。

さんま:10年後こいつらやなと思うのは、番組にもよるし、テレビ東京の『やりすぎコージー』のあの空気感とトークはすごい良いよね。あのときのジュニアとかは非常にいいよ。

千原:あっ、そうですか! ありがとうございます。

さんま:うん。

千原:それはじゃあ、3人のうちの1人でいいすか(笑)

さんま:どのポジションに行きたいかやな、ジュニアが。テレビ的に頑張っていきたいのか。

千原:そう、そうです。そらもちろんそうです。

さんま:司会者とか?

千原:僕、どうしたらいいですか? そうなるためには。

さんま:おまえは面白さを追求していくのがいちばんええんやろ。

千原:いや、嫌です(笑)毎日楽しく、過ごしたいんです。

さんま:外角低めに落ちるシンカーのキレをよくしたいんやろ? おまえ、ど真ん中のストライク投げるの嫌いやろ?

千原:いや、投げたいんです、それは。びゅんびゅん投げたいんです。

さんま:いや、おれは『情熱大陸』見てて、千原ジュニアがね、笑いに対して貪欲で、いつまでも毒を吐いていたい、とか言うて終わったやんか。そのときに、ひと安心したんや(笑)

千原:あれはもうホント、過去のことです。

さんま:いや、おまえはそこへ行ってもカッコええねんて。

千原:違うんですよ、もうそこは違うんです。テレビでちゃんと、たくさんの人と笑いを共有したいんです。

さんま:おまえ、事故起こして地獄見て来たからなあ。

千原:はい。

さんま:あれがちょっと怖いと思てんねや。

千原:(笑)

さんま:やっぱり地獄見たやつは強いのよ。死んでたかもわからない、もう芸能界に残れないかもしれない、っていうやつが這い上がってくるとねえ、やっぱり強いねん。その、面白い面白くないは別として、強いねん。それがおまえ良かったな、逆に。

千原:はい。

さんま:途中、「危ない」言うてた頃ガッツポーズ取ってたんやけど(笑)

千原:やめてくださいよ(笑)ホンマに僕死にかけてるんすから。

さんま:わかってるよ。それから一回りも面白くなってきたやんか、おまえ。

千原:あざっす。

さんま:おまえはシンカー投げ続けると思てたんや。

千原: いや、それは違います。

さんま:紳助なんかでもそやな、シンカー投げたがったピッチャーやし、ダウンタウンの松本もそうやね。おれから見たら、シンカーを投げたがってるトークの人間やけども、やっぱみんなやめていってるよね。シンカーのキレが落ちんのかどうかわからんけど、なんかストライクゾーン広めて、直球放ろうとするやんか、みんな。そこはファンとして、つまらんのちゃうか?

千原:いえいえ、そんなことないです。

さんま:おれは最初っからもう、地肩だけを信頼して投げ続けてきたからな。ストライクゾーンを広くね、世間という。その辺はジュニア、つまらんようになるぞ。

千原:いや、そんなことない、全然そんなことないです。

さんま:シンカー投げたいやろ?

千原:ぜんぜん投げたくないです。

さんま:矢ガモのパロディの、「矢ザラリーマン」とかやっていきたいんじゃない、いつまでも。

千原:どんだけ知ってんすか(笑)なんでうちが1回だけしかやってないコントを知ってんすか(笑)

さんま:そういうことしたいのは物凄くわかるけども、テレビ的にはな。ちょっと厳しいというか、いつまでも続かないのよ、あの発想が。年齢いったり、丸くなってくると。尖ったセンスが無くなっていくのよ。そこは嫌やぞ。おまえもぶつかると思うけど。結婚したり子供出来たりするともっと。尖り具合がなくなんねん。

千原:年齢とか感じることってあるんですか、さんまさんは。

さんま:おれはもともとそんな、若いセンスとか新しいっていうんじゃないから、ないけども、おまえらみたいな放り方する人は、絶対ぶつかるよね。いつまでもシンカーにこだわって、早く引退する野球選手みたいなのもカッコええやんか、おまえ。

千原:それはでも、違いますよ。

さんま:なんやねんおまえ、普通のピッチャーになんの?

千原:はい。いや、その普通のピッチャーになることが、とんでもないことですから。

さんま:そうそうそう、それがいちばんええんやけどなあ。おまえも難しいポジションに行ったな、最初。

千原:そうですね。

さんま:東京初めて進出した時に、おまえのその笑いのゾーンのおかげで怒られたりしたんよな、世間からな。フジテレビの深夜。

千原:ああ、はい、ありました。

さんま:おまえのシンカーが邪魔してデッドボールになったやろ?

千原:そうですね。

さんま:せやろ。あの時にシメシメと思ったんやけどなあ(笑)

引用元:『明石家さんちゃんねる』2007年8月放送回

「笑っちゃうよ」

千原:さんまさん、東京へ出てきはったとき、だれも知らなかったでしょ? 大阪では凄くて。そんときは全然スーッと入れたんですか。

さんま:スッとは入れない。言葉が通じなかった時代やから。

千原:あ、そうですわねえ。

さんま:言葉がわからないから、こっちの人には。「イモ」だと、大阪弁はね。そんな時代やから、陰でダッサい言葉だなとかよう言われてた。TBSの上の人も「出してやってんだぞー」っていう、そんなんやったからね。「やってみろや、面白えことをよぉ」ってそんな感じで。「可笑しいね、笑っちゃうよ、それ」って。言うまえに笑え!って思って。ケンカになったことがある。「これ面白いね、笑っちゃうよほんとに」って言葉が、スッゴい嫌やった。「笑っちゃうよ」が大嫌いやった。何人も刺しかけたもん(笑)

引用元:『明石家さんちゃんねる』2007年8月放送回

『明石家電視台』感動秘話

千原:大阪の番組『明石家電視台』に毎週行きはるじゃないですか。いつまでも、どうなっても大阪で1本はレギュラーをやるって。それはなんでなんですか。

さんま:これはな、ええ話になるぞ。

千原:全然いいです、はい。

さんま:おれがまた引き立つよ。

千原:いいですよ。

さんま:茶の間がグラッとくるよ(笑)

千原:いいです、いいです、はい。

さんま:おれが24歳のときに、週刊誌に「銀座のクラブの女性にさんま泥沼慰謝料1千万」ていう記事載せられたのよ。「流産2回!」って週刊平凡に。忘れもせえへんけども、おれまだ電車で通ってる頃に、サラリーマンに「さんまさん、泥沼でっか?」って言われて」「なにがでんの?」「見なはれ」って言われて、中吊りをそこで初めて見て、「おれ泥沼や」って知ったの(笑)

千原:それは完全なるガセなんですか。

さんま:ガセ。その女の子おれ2回しか会ってないし。それでも大きく影響したわけよ、あの頃はさわやかさんちゃんやったから。その時に、毎日放送のラジオ『ヤングタウン』を、局長とプロデューサーが、さんまを降ろすっていう話になったのよ。イメージ悪いから。ほんならそのラジオの若いスタッフたちが、「僕たちが一緒にやりますので。僕たちが責任取ります、どうなっても」って言うて、おれを擁護してくれたわけよ。その連中がテレビ行きよったから、そのまま番組やってんねんけど。

千原:あっ、その人らが出世しはって、さんまさんが大きくなっても、ずっと一緒にやってると。

さんま:これだけはもう、そのときの恩義があるからやな、助けられる時には助けておこうと。それだけのことやけどな。

千原:へーっ。

さんま:そやろ、テレビの前の人は「なんて人情味の篤い人や」と思てるやろ?(笑) それが嫌やねん。笑いが半減するから。

千原:(笑)

さんま:でも、もう沈む船とわかってても乗らなきゃいけないときも来るのよ。「この企画でお願いします」って、昔おれのこと助けてくれた人が持ってきた場合、「ああ、この船沈むな」と思っても乗らなあかんときが。そういうときに人として、大成すると思うな、おれは。ええ話やろ(笑)

千原:ええ話ですねえ(笑)

引用元:『明石家さんちゃんねる』2007年8月放送回

NETFLIX『人間・明石家さんま。』

NETFLIXで自ら企画・プロデュースしたドラマが配信されることになったことを機に、さんまが本音で語ったトーク『人間・明石家さんま』。インタビュアーは吉田豪。

 

――こうやって、NETFLIXをやられるわけですけども、興味はありますか?

NETFLIXの番組っていうこと? 興味あるよ。海外のいろんな面白いの流してくれるんで。

でも、お金払って見るTVがこんだけ増えてきて、おれたちのやってる地上波が苦しくなってんのも事実やから、なんか、微妙やね。

NETFLIXのCMしてるのも、そら微妙(笑)

気持ち的には整理はついてないと思う。ライバルやからな、ホンマは。

ホンマはライバルやけどもこんなドラマ作ってくれるっていうので、こうなったんですけどね。

――敵に塩送ってる感じがある?

ある。

でも、ものすごく製作費も出していただいて。

正直言うと、民放さんよりもいい製作費を出していただいて、それでちゃんとしたもん作れるならね。こっちは自由にできるしね。

やっぱりそういうのをやっていただけるってのは、非常にありがたい。やりたいことができて。

これが成功すればまたもう1本とか、やっていくんでしょうけど。

――放送コードがゆるいってのはどうですか? やっぱり魅力に感じますか?

それはねえ、あんまり感じないですけどね、放送コードは。

おれらサッカーとかスポーツをやってきた人間は、ルールの中でやりたいんやね。

だから枠を超えて、こんなムチャできるからっていう芸人さんもたくさんおられるんですけど、たぶんスポーツやってない人やと思う。

おれらは、ルールがあるから面白いってのはあんねんな。

だからそういうのはあんまり、好きではない。

枠の中でやっていきたい、っていうことですけども。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

見えない敵たち

僕のテレビ番組はまだ見ていただいているんで、それはありがたいと思うねんけど。

自分と同じ世代の視聴者層は大丈夫やねんけど、今の10代、20代、30代はテレビをどう見てんのか。

おれらはテレビを凄いもんやと思ってやりすぎてるから。

今の子はテレビをそんな凄いもんだと思って見てないから、その辺のズレは絶対あるね。

おれらにはYouTubeは敵やねんな。

だから、その辺が微妙なところやねんけど、YouTubeで知ってもらうっていうことも今はあんねんな、残念ながら。

その辺をちょっと、心の整理つけてるところです。

今は敵が多すぎて。

まず、携帯が敵やから。

素人が自分でYouTubeで流してスターになることもあんねから、そんなバカなとね。

一生懸命テレビ出て、レギュラー獲るまで、みんなどれだけ大変か。

でも、どうしようもないよね、今のところ。

だからその辺は、負けないようには一応、してんねけど。うん。

今は新しいネットのウェーヴに、流されそうになって今グッと踏ん張ってるところ(笑)

――さんまさんて後輩の芸人さんにでもそうですけど、ホントに同じ土俵で戦おうとするじゃないですか。

戦ってる、戦ってる。ええやんか(笑)

――それが凄いじゃないですか。やっぱりちょっとスタンスが変わったりするじゃないですか。

変えたいねん。スタンスも変えたいねんけど、変えられない技量不足? 度量不足? どっちだ? 技量なのか度量なのかわかれへんけど。

変えたいときはあるけど、まだこのスタンスでいけるって思って、いってんねんけど。

変に映ってるか?

――いや全然。素晴らしい、そこが大好きなんですよ。まだムキになって戦うかっていう(笑)

自分の、見えない敵たちに対しても戦ってんねんけど、もう何人かが面白いだとか好きだとか言ってくれる、優しい言葉に支えられながら来てるな、今のところは。

引用元:NETFLIXのCM『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

「老い」と「死」

さんま:座右の銘を、「生きてるだけで丸儲け」から、「ワクワクして死にたい」に変えたんで。

ワクワクしながら死ねたらいちばんええねんけど、どうもこの2年、考えてみたら、ワクワクは死ねないか。ムリか、おれの人間力ではと思って。

できればワクワクして死にたい。「おい、死ぬってどんなやねん!?」て思う脳に早く切り替えたいな。「死ねるで、おれ! よっしゃ、死んだろ」とか。

過去を振り返らんどこうとか。

やっぱり年を取ると過去を振り返るから、若い時はやっぱり前しか見てなかったから、過去を振り返りたがるのをやめようと。

「花鳥風月」、あれ老人になっていく順番やろ。

花鳥風月をとりあえず拒否ろうと(笑)

最近やっぱりおれと同世代が、男やのに、野に咲く花とか写真撮ってね、キレイなーって言うとんねんな。

そうか、こいつら花鳥風月の「花」に入ったかあ、とか。

「あ、鳥や」言うてるやつ見ると、「鳥」に入ったかあ、とか。

おれは出来る限り野原に咲く花を踏みつけようと(笑)

鳥見たら石投げよう、って心がけてんねや(笑)

――歩み寄らないように(笑)

ちょっとでも歩み寄らないように(笑)

老いには勝てないって言うけど、自然と老いていくねんから、こればっかりはしゃーないかと思って。

まあまあ死も来るだろう。

言葉上はものすごいわかってんねんけど、いざとなったときにどうなるか。

おれもちょっと不安。怖いのは確かやな。

死にたくないのも事実やけど、このまま生きててもしんどすぎるし(笑)

――このテンションで(笑)

40歳ぐらいのままで100年、200年生きたい言うやつがいるけど、おれは無理やから(笑)やっぱり死があるからいいのかと、思うときあるね。

周りも、死ななかったらこんなに頑張れないやろうしな。

死があるってのが脳でわかってるから、今もこうして喋ったり。

死があるのがわかってるから、女の子とデートしたり。

タバコ吸ったり、水飲んだりするんだろうとは思うねんけど、本能的にね。

ずーっと40ぐらいで生きる言われたって、絶対面白くないのも事実やろな。

だから死をあたりまえとして生きてる、生かされてる、か。

その分、年はとりたくない、ただ。

ちょっとでも若くいたい。

――そこはあがきますかね?

あがく(笑)

これからまだまだ男性が元気になる薬も開発されるやろし(笑)

昔、ちょっと弱くなってきて。雑誌の後ろ見てたら、あそこにシリコンを入れるっていうのがあって。整形美容かなんかで。これ入れようかなと思ったことあった(笑)

ただ、ずっとその(勃起の)状態のままやねんね、それ入れると。固いままやから。

おれが死んだときに、お医者さんが「ご臨終です」言うて、娘が駆けつけて「お父さん!」って言うたときに、固いわけやんか。「先生、まだ生きてます!」とかいう会話になるのいややんか(笑)だからやめた。

こないだも専門の先生が、「さんまさん、安心してください。5年経つともっと凄いのが出ますから」とか言うと、「いや、そんなんいりません」とか言いながら、どっかで「できるのかあ」って思ってる自分が、嫌で嫌でたまらない(笑)

――たしかに、年々風流なものがわかるようになっちゃうのは、そこの危機感はわかりますね。

若い頃は俳句じゃなくて、川柳が面白かったのに、俳句の季語とかなんとかに凝り出す世代になんのが嫌やな。

昔はな、ビー玉だのコマだので一日中遊べたんやからな。

あれができなくなってる。うん。

あれで楽しかったからな。

その時代に戻りたい。

あんなことで一日楽しく遊べたのかと思うと、すっごい遊び上手やんか、小っちゃいときってやっぱり。

そんで、突然走れるやんか。今、突然走れないもん。

――そりゃそうですよ(笑)

「風流だねえ」とかいうのを受け入れて、そこでカッコよく生きてる人もいっぱいいんねんけど、おれはそれは嫌。

いつまでも闘っていたい。自分自身の中でね。

いま、フェデラーってテニス選手がカムバックして、35、6でまだこんだけやれるのか、凄いなこいつ、って思うねんけど、おれ62やねんな。おれのが凄いやんと思て(笑)

――凄いですよ。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

『明石家サンタ』

『明石家サンタ』はもう30年以上かな。もともとは、ディレクターの三宅さんと話してて、12月24日に誰とおってええかわかれへんかったのよ、独身時代。

本命、言うのもおかしいねんけど。

恋のレースは1頭しか走れないねんけど(笑)、なんかG1争いしてたのかな、あの頃は(笑)

24日に会うと、結婚とか向こうが意識してしまうんじゃないかとか。

「24日は誰とも会えないんですよ、いっつも1人なんですよ」って三宅ディレクターと喋ってたんですよ。

「えっ、24日毎年空いてるの?」って言われて。

「逆に番組を生放送でやらしていただければ助かるんですけど」

「じゃあやります?」って言うて、始まったの(笑)

――なるほど(笑)

おれの私生活の問題から派生してる番組です(笑)それが今日まで続いてるのがすごい。

――あの企画自体もムチャっていうか、今あんなに行き当たりばったりなのもめずらしいと思いますけどね。

素人の不幸な話を電話で聞いて、面白かったら賞品をあげるっていう。

古き良きテレビの時代で、「さんまがこういうことやります」って言ったらフジテレビさんが「はい、OK!」って言って、内容もなんにも確認せんままGOサインが出た時代だったんで。やらしていただいて。

――毎年ハラハラしますよ。毎年事故りそうな電話とか普通に来るじゃないですか(笑)今あんまりないと思うんですよ。あんな危なっかしい企画。

あ、そうか、生で素人さんが喋るから。

あ、そうかそうか。たしかに(笑)

素人と電話っていうのは司会者も一番疲れるんですけど、宝くじに当たるような感じで素人の電話を待って、素人のキャラが見えないけども、電話口のキャラだけでどう展開していくか。こっちも疲れながらやってます。

――ものすごい大変なことやってると思って見てます。

それはありがとうございます。やっとそう言ってくれる人が現れた(笑)

――普通だったらもっと仕込んで、もっと完成度高めるじゃないですか(笑)危なっかしいんですよ、ほんとに(笑)

その前まで電話の受付した女の子には饒舌にしゃべったけど、全国放送でおれとしゃべるともう舞い上がってボロボロになっていく素人さんもいるわけですが、これはもう仕方ない。

だからそういう楽しみ方してほしい。できれば。ハラハラする、という(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

「賞」について

映画祭とかなんとかで賞を獲りたいとか、「そんなに賞ほしい? そんなにそれ大事なの?」って言って生きて来たし、おれも全部賞を断ってきてるんで。

「賞をもらうためにお笑いやってるんじゃないんで」って、「笑」はいるけど、「賞」はいらんてずっと断ってきてるけど、後悔してる(笑)

――あ、そうなんですか(笑)

「あの賞、貰といたらよかった」とか(笑)子供とかやっぱりトロフィー見たら「すっげー!」とか言うねんな。

そうか、子供のためにトロフィーとか要んのかと思った(笑)

――賞に興味がなくなったきっかけって何なんですか?

あのね、これ言うてええのかな、なんかの賞の投票でおれが1位やったけど、おれがその表彰式に行けない。

ほんなら「じゃ別の人にしますんで、さんまさんは2位で」って。

「え? そんなもん? 賞ってそんなもん?」て。

他のテレビ局でも、なんかの演芸の賞で金賞が決まったっていうのもあってんな。

あんなテレビ局のそういう賞貰えるのかって言ってたら、そしたらそれを決めてる人が、自分の彼女がいてて、その人になったからって。わけのわからん(笑)もう賞なんかいらんわ、と。

面白いもんさえ作れば、賞は関係ないと思うねんけど。うん。

そこで、「なんでこっちが賞獲れへんかったんやろ。こっちやろ」って言わすほうがすごいしね。うん。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

『踊る!さんま御殿!!』

『踊る!さんま御殿!!』は、最初『恋のから騒ぎ』のスペシャルから始まった、芸能人版。

あの番組のスゴいのは、20年前、一発目からリハーサルなし。

「おはようございます」って楽屋入って、「リハーサルすんのかな」と思ったら、「あ、もう本番いくんで、出て行って、テーブルがありますから、その横に立って、テーマに則って喋ってください」って。

それだけで出て行ったんですよ。

ムチャするなあと思て(笑)

新番組でリハーサルないって(笑)

おれだけ知らんわけで、ひな壇の人たちは打ち合わせしてんのやな。

おれだけ打ち合わせなしで、どうなることやらと思ったのは憶えてる。

収録が終わって、「面白かった」っていうので一安心したのを憶えてるな。

――ちなみに、僕(吉田豪)が数少ないテレビ出演を断ったのが『さんま御殿』なんですよ。

なんで断ったの?

――僕、絶対ムリです、ハードル高すぎますって。

なんで芸人感覚やの(笑)君は笑わさんでええねんから。

――そうなんですけど(笑)僕にはちょっと早いです、って。唯一ぐらいですよ、断ったのほんとに(笑)

芸人が言うやつ、それは(笑)ライターとして出て、ライターとして喋ったらええねん。

だからあの番組、役者さんたちもそういうのあって、「『御殿』断りました、すいません、もっと腕を上げてから出させていただきますので」って。いや、役者として出てくれと(笑)

――怖いですよ、ほんとに。

いやホントに怖いのは、番組を作っていかなきゃいけないお笑い芸人たち。

芸人たちが一番緊張する場で、これまで錚々たるメンバーが、初めての時は一言も喋れんかったっていうのをよく聞きますね。

――アイコンタクトで高度なパスワークをしてる番組っていうイメージがあるので、僕は入れないなと。

君はええねん、入ったって。君にはそんなキラーパス送らないから(笑)キラーパスは出来る人たちに送るだけ。

だからでも、出てくれる人にはホントにやってくれてて、感謝ですね。

こんなにみんな力入れてやってくれてんねやってあらためて思いますね。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

結婚した頃

――さんまさんの変わらなさは異常だと思うんですけど、たぶん世間的にも唯一変わったと思えるのが結婚した時だと思うんですけど。

はいはい、そうそう。

――あの時ってさんまさん自身はどう思ってたのかなって思って。

疲れててね。あの時、初めて芸能界に疲れたときやったのは事実ですね。

マスコミにも疲れ、テレビ番組に対しても疲れ、やりきった感があったりして。

なんか、このままでいいのかっていう、芸能界疲れがピークに達したのが31ぐらいの時やったね。

『ひょうきん族』やって、『男女7人』やって、なんてやってると、おれはそう思ってないけど、なんか世間がなんでもおれを中心に動いてしまってるような勘違いをしてね。

浮かれた分、疲れた。

ほんでちょっと休もうと思って。

その時にまあいろいろ重なって、もともと大竹しのぶさんの前の旦那さんとテニス仲間で、その人が亡くなってしまって、大竹しのぶさんと(息子の)二千翔が残って。

さあどうしよう、って感じの時に、こっちも落ち着きたいっていうのが重なって、結婚になって。

ほんで、スペシャルとか仕事をちょっと減らして、育児に専念したのは事実ですね。

――あの時期、たぶん良くない評判がさんまさんの耳にも入ってたと思うんですけど、さんまさんが面白くなくなったんじゃないか、とか。

そうそう。たしかにまあ、面白くなくなったとは思います。イメージからすると。

その時、大竹しのぶさんも叩かれて、「さんまを殺した」みたいな週刊誌の記事が出たり。

でもあの人、凄いなと思ったのは、バーンと週刊誌投げ捨てて、「また”演技派女優”だ!」って。記事のタイトルが。

あの人”美人女優”って書かれたことないらしくて(笑)

“演技派女優”って書かれる人って”美人女優”って書かれたいらしいわ(笑)

そこに怒ってた。

でもまあ叩かれても、こっちはIMARUの育児もあるし、家にも帰らなあかんし、二千翔のこともあるし、仕事より大事なものを見つけた感があったんで。

あの時に「さんまは面白くなくなった」と言われても仕方がないと思って生きてたし。

ちょっとペース落して、娘が3歳になるまではそうしようと思って、ペース配分したのは事実や。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

「笑い」と「涙」

涙したい人は涙したい司会者の番組を見ればいいんで。

おれはもうね、人が辛いときに笑わせたいと思ってテレビ作りしてるんで。

おれの番組で泣くのはおかしいと思ってやり続けてんねんけど。うん。

「この感動を笑いに変えられるやろ」っていうこと。

涙だけじゃないやろ。

疲れてるときにテレビつけて、ああさんま出てるわ、笑えるな、疲れが吹っ飛ぶなっていうのが夢で来てるから、そこを感動で泣かせたらよけい疲れるやん(笑)

仕事してるサラリーマンの人って辛いやんか。とっても。

そんなギャー笑いながら一日暮らせるわけやないから。

だから家帰った時ぐらいは笑いたいやろっていうところで、自分はスタートしてるんで。

感動が好きなやつが増えてんねん、日本には。それがちょっとおれは不満やねんけど。

そんなに泣きたいんか? と思うねんけどやね。

感動を笑いに変えて、涙にするほうがすごいやろ。

その夢はまだかなってないんやけど(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』より

好かれたい

――ファン対応の良さも有名じゃないですか、さんまさんは。

まあ、サインできるだけの時間があれば、やったろかいうだけのことやけどな。ほんとに。

――どこかでやらしい感情があったりするんですか? これで評判良くなるぞとか。

あるかな。

あるかわかれへんな。

おれは、人に好かれたい病やねん。

それは前の奥さんからもよう注意された。

なるべく好かれたいんやな。ほんでいい顔しすぎ、みたいな、女の子が嫌うタイプやわ。どっか好かれたい。

――そう考えたらいろんな謎が解ける気がします。

せやろ(笑)

嫌われるより好かれたほうがええと思うんやけどな。

ファンの人たちはホントに、いろんなものを買ってきてくれたり、舞台なんかやるときはチケットが即完売で、40何年即完売させていただいてるのはちょっとやっぱり感謝。こんなこと言うのもなんやねんけど。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

https://twitter.com/kiskiskis22/status/1004523383470452737

後悔

――間違いなく、結婚生活には向いてないですよね。

最近はもう、結婚生活不適合者ってのはちゃんとわかった。

はっきりわかったよね。反省してる。

どれだけやさしくできなかったか。

今までの彼女に、ほんとに会って謝りたい。ごめんねって言いたい気持ちはホンマにある。

自分が「売れてる」「忙しい」にかこつけて、どれだけ幸せにしてあげられなかったのか。

それは感じる、人の話とか聞いてると。

そんなこと言ってあげんのか。そんなことしてあげんのか、っていうのを、なんにもしてないし。

なんか自分自身過信してたのか、「一緒にいれるだけで幸せやろ?」みたいに、勝手にそう思ってた。

人様の話聞くと、みんな頑張って尽くしてはって。

61で聞いてもそれはもう手遅れやったけど(笑)

みんなに「おまえは笑いと結婚したからな」とか言われるけども、いちばん大事なものが「笑い」ってなってしもたのが、うーん。

やっぱり仕事が嫁さんて、あかんと思うねん、人として。

そうなってしもうて。

ずんの飯尾とかは、「師匠はお笑いと結婚されて。再婚されてもお笑いでしょうね」とか言うてくれるんやけど、それは人としてはどうかと(笑)

ほんとに思うところが多々ありますね。

――芸人としては凄いことだと思いますけど。

すごい事なんかなあ。

今になって、いちおうお笑いの中での成功者として言わせていただくと、ほんとに家族を大事にして、子供も大きく育てて、真面目に一生懸命働いて、家族を幸せにしてる人が凄いと思う。おれのは凄くない。

そこを省いて、ここへ来てるんで。アカンな。

――両立は難しいんですかね。

おれはね。

やってる人はいっぱいいらっしゃるよ。

自分は笑いや、テレビ、バラエティに神経が行き過ぎたのは事実ですね。

まあそれで応援してくれてる人もいるからな。しゃあないかとは思うねんけども。

――多少の後悔はあったりするんですか?

無茶苦茶後悔ばっかりやんけ、おれ。

ほんとに後悔して暮らしてる、男としての後悔、人間としての後悔。無茶苦茶してる。

でも、この後悔はもう遅いってのもわかってる(笑)

この年齢まで気づかないでいたのが、おれの不幸やな。

今もこうして言うてるけど、自分ではわかってないねん。

家帰ったり、舞台のコントのこと考えたりすると、すべて忘れてしまうと思うね。

そういう欠点があるな。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

正月特番

――正月特番とかっていつもとモチベーション違ったりします?

最初は違った、モチベーションも。

正月生放送とか、年末生放送とか、若いときはすっごい力入れててんけど。

正月って、視聴者はあんまり真剣に見とれへんのよ(笑)

――そうですよね(笑)

そうなの。

世の中の人たちはおれたちが真剣にやってるほど真剣に見とれへんから、だから『爆笑ヒットパレード』の司会やめたの。

街歩いてても、普通の日のオンエアのことは「面白かったね」とか言われても、「元旦のあれ面白かったね」とは言われないんですよ。もう消えてるんですよ、7日のあいだに。「さんまよく出てたね」ぐらいで。流されることに気がついたんですよ(笑)

ものすごい頑張ったのにね、世間の評価が、割に合わない(笑)だから頑張らないようにしてるんです(笑)

まあそれなりにオファー頂くんで、来たらやるんですけど。

今はだから、レギュラー番組の正月スペシャルがあるんで、自分の番組は一生懸命、一応やってますけど、手ごたえがないのがちょっと寂しい(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

『さんタク』

『空から降る一億の星』っていうドラマを木村君とやって、それから仲良くやらしていただいて。

「なんかバラエティ、2人でできないですか?」って言うんで、そりゃおれと木村がやるんならどこの局もOKしてくれるやろと思って、「どこの局がええ?」って言うたんや。

「日テレか? フジか? TBSか?」って言うたら、「怖ぇー!」とか言ってましたよ。

「テレビ界のヤクザじゃん」とか言うて(笑)

――「おれが言えばなんでも通る」って(笑)

あいつもほとんどフジテレビしか出てないぐらいの時代やったから。

でもわかるやんか。

おれと木村がなんかやるって言ったら絶対どこでもいけるやんか。

――絶対、通りますね。

それをわかってなかったみたいで。

ほんでまあフジさんがやってくれるということで、見てても楽しい、やってても楽しい番組に一応仕上がってると思いますね。

――(SMAP解散など)いろいろあったけど、続けていきたい番組なんですね。

そうですね、まあまあいろいろあったけども、テレビ局がGOサイン出してくれるなら、やらせていただこうじゃないのっていうことですね。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

https://twitter.com/kamiko1988/status/1002091143708880896

ご長寿クイズ

――『ご長寿グランプリ2017』っていう特番があるわけですが。

去年、何年ぶりかに復活して。

やっぱり面白いっていうことで、今年もやるんですよ。

まあまあ『ご長寿クイズ』っておれが見ててもとんでもなく面白いし。

おじいちゃんおばあちゃんをあんな扱いしてる番組もあんまりないし(笑)

あの頃は90過ぎたじいちゃんばあちゃんがスターになった時代でしたから。

あれが生まれたっていうのも制作費があったからなんですけど。

制作費がなくなってくると、お年寄りたちのインタビューとかもカメラを回せる時間も日数も少なくなる。

あれはもう面白いじいちゃんを探すのに100人ぐらいあたってやっと1人とかいうような撮影やねんな。

それができなくなったっていうのも『からくりTV』が終わったひとつの原因だった。

いいVTRができないっていう。

やっぱりもう粘って粘ってやらないと、相手は素人さんですから。

そこの制作費の問題で苦しくなったのは事実ですね。

――毎週、涙流して笑ってましたよ。未だに忘れられない答えとかいくつもありますよ(笑)

そうそう(笑)

おれは、「花嫁さんが来てる女の子たちに投げるものはなあに」っていう問題で、答えはブーケなんですけど、「高速スライダー」とか言い出した人がいて(笑)「フォーシーム?」とか、変なことだけ詳しく知ってらっしゃったり(笑)

答えようとしてんのに、横のじいさんがそれを言ってしまうとか。

年寄りの、独特の面白さがあったりしますね。

――「日曜日のお昼の和田アキ子さんの番組は『アッコに』なんでしょう?」、「殺される」っていう、あれ忘れらんないですね(笑)

それね、アッコさんもご覧になってて、「アッコに殺されるってなんやねん」てゲラゲラ笑いながら、「うち、もう笑てしもたわ。ありがとうな」言うて、わざわざ電話までいただいたのを憶えてますね。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年配信)

『さんまのお笑い向上委員会』

――バラエティを見る視聴者の方々に変化みたいなものは感じたりします?

これはもう、大きく変わってきてる。

バラエティファンていうのは常にいてくれてるというのも事実やけども、テレビの見方が違うし。昔とは比べ物にならないぐらい。

――なにが変わったと思います?

「すまん、今日どうしても見たいテレビあんねん」て帰る人に最近は会ったことがないんで。

もちろん録画機能も良くなったりしてるのも事実ですけども、お笑いに対しての感じが、若い人たちとか、30代ぐらいでもかなり変わってしまって。

――お笑いというジャンルが確立されてきたとは思うんですよ、むしろどんどん。でもバラエティ番組とかはやっぱり、変化はすごく感じるんです。

変化っていうか、テレビ局で作らせてもらえないでしょ、コント番組は数字取れないからとか、バラエティ色が強いと数字取れないとか。

そういう時代に来てしまってるんで、今、ゴールデンタイムでコントやってる番組はないと思う。

それを土曜日の8時にできてたおれたちはね、そう考えても大きく違うっていうか。

でも舞台でコントをやると、お客さん喜んでくれはるから、コントは嫌いじゃないと思うねんけど、テレビでああいうコントをやっても、見なくなってるっていう。

――予算の問題なんですかね。

予算の問題もあるし、見ないっていうのもあると思います。

ただそういうのは守っていかなあかんなっていうので『向上委員会』はやってます。

だから、コントでは企画書通らないんで、ああいう形にして。

あれもずっとコントが続いてるようなもんやから。

そういう番組だけはフジテレビさんがやってくれるので、ありがたいって非常に思ってる。

ああいう番組を残さなきゃいけないって勝手に責任感を感じて、やらしていただいてます。

――フリートークなんだけども、コントだっていう。

セット組んでメイクして、あれをやる時代ではないんやろうと、見ていただけない時代やろうと思う。

――ほんとそれ思うと『ひょうきん族』で、ものすごいセットを組んで使わない、みたいなコントが出来た時代ってのは凄かったんだなって。

すごいすごいセットの中でくっだらんことを2人がやってるっていう、そのギャップの面白さがあったんで。あの時代は。まあこれからどうなっていくか知らんけども。

――でもやっぱりそういう義務感みたいなものはあるんですね。「残していかないと」っていう。

後輩たちにね。

後輩たちの道を作っといてあげなかんと思うねんけど、まあ所ジョージさん曰く、「さんちゃんさあ、後輩への道を作ってるつもりだけど、1人でクルクル回ってるだけだよ」って(笑)

「うそやぁ」と思ったけど、みんなも「そうそう」言うてたから、「だれも後ろついて来てませんからいっぺん後ろ振り返ってみなはれ」って言われたことあるんすよ(笑)

今振り返って誰もいなくても、遠くにいるとは思うねんけど、なんか若手のために道拓いてると思ってるのは、さんちゃんだけで、若手はだれもついてきてないよ、とは所さんに言われたことがある。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

好きなバラエティ

――好きなバラエティっていうのはどういうものなんですか?

まあ、コントやらせていただいたりするのがいちばんいいんですけど。

おれが20代後半の時に、うちの師匠がいっつも「雑談をテレビとか舞台でできるやつはスゴい」って言うので、『さんまのまんま』も、局の反対を押し切りながらゴールデンでやらせてもらって。ああいうトーク番組がない時代やから、みんなが反対したけど、それが成功した時に、やっぱりどっかでガッツポーズしとったな。

雑談で展開してる番組、見たりしてますね。

やっぱりお笑い色が強いバラエティが好きですね。

――『笑っていいとも!』で(タモリと)雑談するコーナーも画期的でしたね。

あれも、ディレクターたちは「いや、それはムリでしょう」って言われたのは憶えてますね。

タモリさんにも「あれは凄いことだよなあ」って前にお会いしたときに言っていただいたんで。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

https://twitter.com/tamori3meigen/status/1003153475864150019

視聴率

――視聴率ってどう思ってます?

われわれ世代は、「30%いきそう」「30%狙おう」とか簡単に言うてた時代なんで。

今12~3%で「ありがとうございます!」ってディレクターとかに言われる時代に来てる。

おれら12~3%なんて、「あ、この番組終わるな」っていう世代なんですよ。

だからその振り幅が凄すぎて、わけわからなくなってくる。まあ、ええかっていう。

12~3%でガッポーズとられたときには、30を経験してきてるタレントたちは、「それでいいの?」って感じは、しますね。

そういう視聴率は気にしないようにはしてますけど、視聴率が良かったほうが、まだマシ。

――「まだマシ」ぐらい?

そうそう。

だから仕方ないもの、こんな時代に来てるから。

NETFLIXさんはあるわやな、他にお金を払うテレビもいっぱいあるから。

そりゃもう、仕方ないよね。

民放のライバルは他局だけじゃなくなったっていう。

それはやっぱり大変な時代に来てるかなと。

数字が悪ければスポンサーさんがつかなかったりとか。

テレビが変わってきてるけど、まだそれを受け止められない自分がいるんで。うん。

テレビを愛しすぎて。

――テレビ、ほんと好きですもんね(笑)

このテレビ好きが女性に変わったら幸せに暮らせるねんな、たぶん。

だから、バラエティを超えてくれる女が現れないかなと(笑)

おれを夢中にさしてくれと(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

長寿番組

――長寿番組をよくさんまさんやられてますけど、そういう長寿になる特徴っていうのはあるんですか?

面白いものを作って、それが続けば長寿番組になるというだけで、それだけのことやなあ。

われわれが入ったときは「バラエティ2年説」。

バラエティは2年続けば充分だという時代にバラエティやってるんで。

その昔は、アイドルの水泳大会の応援団に選ばれれば、という。

あれ、別撮りなんですよ。

「はい、こっち、お笑い集まって」って集められて、「がんばれー」って別撮りで撮るんですよ。

そんな惨めなもんですけど、それに選ばれるだけで嬉しかった。

テレビに出れたっていうのを喜んどった時代があって、それからレギュラー番組、そしてメインMCをやらせてもらって。

テレビに1回でも出れたらいいかと思って入ってきた人間が、長寿番組を作ろうなんて夢にも思ってない。ただ偶然、長寿番組になったっていうだけですよね。

「偶然じゃないんじゃないですか?」って言わないの?(笑)

――(笑)さんまさんがやったからじゃないですか?

それそれ(笑)

それが欲しかったのよ。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

土曜8時の枠

――さんまさん主導の番組は比較的続くようなイメージがありますね。他の人がいると他の要素が出てくるけど。『ひょうきん族』とかだとさんまさんだけじゃないじゃないですか。

だから、『ひょうきん族』って8年ですよ。

ただ、『めちゃイケ』が来年の3月で終わるらしいんですけども、岡村から連絡があって、「終わります。すいません」と。

「すいません」てなにを言うてるのかなと思ったら、

「21年間頑張りましたけど、頑張り切れませんでした。土曜日の8時、さんまさんに返しますから」って言われて。

なにを言うてんのかなと。あれ、おれの枠でもなんでもないし。

でも岡村世代はやっぱり、土曜8時は『ひょうきん族』のイメージがあって、『ひょうきん族』の流れを、『めちゃイケ』は笑いで守ってきたっていうのが岡村の中にあったみたいで、21年もやったやつが、8年しかできなかったおれたちに、「返します」ってどういうことやねんていう(笑)「お疲れさん」て言うたんですけど。

テレビ局がべつに「さんまさん、返ってきましたよ」って言うわけじゃないけど、岡村が「あの枠をさんまさんに返します」って言うてくれたのは非常に嬉しかった。

岡村も自分のラジオで「初めてさんまさんに褒められた」って言ってましたけども。

そうか、この世代の子たちには土曜8時をそんな目で見ていただいているんだと思ったら、あらためて『ひょうきん族』の凄さが、身に沁みましたね。うん。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

https://www.instagram.com/p/BjtF-XZjFP2/?tagged=%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%AE%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BE

いつも真剣勝負

――テレビって、いつ、どう見てらっしゃいます?

おれはソファーに座って、大画面のテレビを、真正面から見てますけども。

――お酒を飲んだりしながら?

そうですね、でも寝ながらとか、なになにしながら、とかはほとんどない。

集中してテレビを見てる。

自分の番組もそうやし、人の番組も一応正面切って見てます。まあもちろん深夜になればお酒も飲みますけども。スポーツ中継とかも見ますけど、けっこう真剣に見てます。

みんな、テレビを寝転びながら見るとかよく言いますけど、テレビをああして見たことない、おれは。同じ仕事仲間なんでね。

世間の人たちはおれみたいに大層には見てないんだろうな(笑)そらそやろな。

「このタイミングでツッコむか、さんまちゃん」なんて誰も思わへん(笑)

面白い、面白くないだけでいいんでしょ、見てる人はね。

――技術論では見ないですからね。

だから、たまに飲み会で会うねんけども、おれの番組全部見てるっていうから、振ってみても、下手やねんな、やりかたが。知ってるだけで。

「おまえな、見てんねんやったらできるやろ」って一般の女子に説教してしまうことあんねん(笑)

今やったら「ほいでほいで?」ってのをすごい使いたがるねんな、飲み会の女は。

その使い方を間違うし、振りは下手やわで、にぎやかな酒の席で「おまえな、ちゃんとやれへんのやったらすんな」とか、素でダメ出しして(笑)「怖―い」とか言われてますけど(笑)

こっちはお笑いの芸人やから、できるんですよ。

それを素人が、出来ると思ってやり出すやつは、いつも止めて注意する(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

職業病

これはもう、大竹しのぶさんにも怒られたんですけど、職業病なんですけど。

「今日ね、面白い話があったの」って言うから、

「”面白い”って言うな、ハードル上がるから」って言ってしまうんですよ。

「なんで言っちゃダメなの!?」って(笑)そんな日常会話で技術使う必要ないやんか(笑)

ほんで、オチがないから「あれ? オチは?」って言うと、

「あのね、オチなんかいらないのよ、わたしたちは。もういい加減にして」とか言うて、怒られたことよくありますね。

「えっ、こんだけ聞いたのに? 途中、よけいな話放り込みすぎやで」とか、言ったことがあるのも事実(笑)これは完全に職業病。

――ハードルを下げてから上げてくほうがいい?

緊張と緩和やから。

「今日怖かったんやぁ」から入ったほうが、緩和が大きくなる。

「面白かったのよ」から入ったらもう緩和してもうてるからね。

そこを緊張させなかんから、そこはもうオーバーに「怖かったの」「もう大変だったの」から、素人の女性はどんな話でも、入ったほうがいい。

「10日前の話なんだけど」はダメで、「昨日さぁ」って入ったほうがいい。

――そこは事実である必要はないんですね(笑)

いかに緊張さすかやから、10日前の話より、「昨日な」って言った方が緊張感は高まるんで。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

小さな画面

――テレビをスマホとかタブレットで見られることについてはどう思いますか?

おれらからしたら、見て欲しくない。

でもそれが、今やろ。

NETFLIXさんにも、ドラマ作るにあたって「すいませんが、なるべく1本20分以内にしてほしい、携帯で見られる人が多いんで」って言われると、「ああそうかぁ」ってすっごいせつなくなる。

こんな小さな画面でテレビを見るなんて夢にも思わなかったじゃない。

おれら、50インチが出たときに「買ったよ、50インチ!」って大きさを自慢してた世代やから。

それが、こんな携帯で見られるっていうね。

照明さんの努力も、これでは伝われへんやんか。

番組作りにかかわった人たちが可哀そうに思える。そういう世代の人間。

別にええねんけどね、今やから。

こればっかりは仕方がない。

――みんなにもさんまさんみたいにテレビに真剣に向き合ってほしい?

そう(笑)テレビをもっと凄いもんだと思って見てほしい(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

「どこが?」

――他の芸人さんの番組も相当チェックされてるそうじゃないですか。

まあまあ、噂の番組とか、タレントさんとか、売れてきてる人とか。

それはもう、今度おれと絡んだときになにをやってあげたらええのか、探すために見てることも多い。

その売れてる人のネタを拡げてあげるのがこっちの仕事なので。

M-1だ、R-1だっていう大きな大会は、おれと被ってないかを見る。

「ああ、今年も大丈夫」って(笑)

おれらは『ひょうきん族』とか、バラエティ全盛時代に生きてきたわけやけど、今の若手もいろんなことやってるわけやな、出来・不出来はべつにして。

でも、あ、これはたけしさんとやってたなとか。これもやってたな、とか。

お笑いっていうのは結局、緊張と緩和しかないんで。

緊張と緩和しかないところで、言葉や、キャラや、っていうものを乗せながら、お笑いタレントっていうのがいっぱいいるわけやけど、いろんな種類の笑いがあるっていいながら、結局は緊張と緩和ひとつしかないわけやから。

そこが非常に難しいところだと思うし、やりがいがあるところでもある。

なんか他のお笑い芸人を、野犬のような目で見てるらしい。

「どうすんねん、これ。ああ、こうするか?」とか。

ものすごく、現場監督のような目で見てしまってるので、出てる人は可哀相。

「こいつはこのテーマで、こうするんか」とか、おれとの違いを探るし、結局おれのほうがいいと思う(笑)

だから娘が小さい頃、非常に悪いことをして。

「ナインティナインが面白い」って娘が言うたら、「どこが?」って言うたらしい(笑)

おれはナインティナインも好きやし、知ってるから、参考のためにね、3歳や4歳のちっちゃい子がお笑いを見て「面白い」っていうのは、どの部分が面白いのか、おれはどこが足らんのかって思っただけなんやけど。

「どこがや」っておれが凄い形相で見たのを娘が憶えていて。

だから他の番組を見てても、おれが部屋に入ってきたらパッとおれの番組に切り替わったりもよくしましたわ(笑)

だから見たい番組を見せてないと思います。可哀相なことした。

ついついライバル視してしまうのか。

岡村は面白いと思うよ。

だから「どこが?」って訊いただけ(笑)それが怖かったって(笑)

――「絶対おれのほうが面白いだろ?」っていう…

その空気が家族にも伝わったみたいで(笑)

可哀相よねえ、お笑い芸人の家族たちって(笑)

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

編集

ほんとは60歳で引退して、ゆっくりバラエティを見たかったのも事実です。他の人のね。

一般の人たちが見て笑ってるような、そういう見方をしてみたい。

18歳でこの世界に入ってからは、そういう見方が出来ないっていうのは不幸やね。

――どうしても同業者として醒めた目で見てしまう。

そう。

ドラマでも、ヒットドラマとかやってしまったから、役者でもないのに、「ああ、こういう芝居するんだとか」とか、そういうのが出てきてしまう。非常に反省してますね。

ほとんどの方は、自分の番組は見ないそうなんですけど。

――そうですね。さんまさんは異常だと思います(笑)

異常やけど、面白いから仕方がない(笑)

――前に僕がインタビューして印象的だったのは、松本人志さんが、ずっと自分の番組も見てたのがある時期から、これはと思う部分をカットされるようになったって。見るとヘコむから見ないようになったって言ってたんですよ。

へえ~。

あるある。「ここ残せへんかったのか、このD」とか。

でもまあディレクターの好みやからな。

材料はこっちで全部やって、「はいどうぞ」って料理人に全部任さなしゃあないから。

ディレクターというシェフに任さなしゃあないから。

それはもう全然、「あ、こいつの好みか」って思えるようになった。

――オンエアを見てそれを確認して、合わせていく感じなんですかね?

いやいや、現場ではおれのやりたい、おれの言いたいようにやって。

編集はもう好みやから。

もうぜんぶこっちは作りましたよ、どうぞ、っていう感じで。

だから、そのディレクターの作りに合わすことはしない。

ただまあ、どこを切っても、面白いから(笑)

どう編集してもさんまちゃんは面白いっていう。

そう納得せなしゃあないな。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

教養のない笑い

――最近のたけしさんの新刊でさんまさんについて書かれた章があって、基本的には褒めてらっしゃるんですけども、たけしさんらしい表現だなと思ったのが、「さんまはスゴいんだけれど、あいつは教養がない」みたいな言い方をしてて。

たしかに(笑)それはもう大いに認めます(笑)

教養がある笑いはしたくないっていうのはあるし、だから教養がないって言われや、そうなんだろうと思うし。

たけしさんのおっしゃってることはものすごくわかる(笑)

――偉い人と絡む時でもさんまさんはさんま流に持って行くみたいな。

そうですね。

たけしさんが前おっしゃってたんですけど、たけしさんて子供のころ野球やってて、プロ野球選手になりたかったから、今でも野球選手だけには年下でも敬語になってしまうと。

「でも、おまえはよ、マー君のことを球投げ野郎って言ったよな。おれ、それ許せないんだよ」っておっしゃってたことあります(笑)

それはまあ、おれたちは所詮ドブ芸人だから、っていうフリがあったからですけどね。

――さんまさんは教養的なものに興味がないんだろうなっていうのはよくわかりますね。

なにか難しいことを言ったりとか、そういうのは他の偉い先生方にお任せしましょうと。

仕事で疲れたり、勉強で疲れたりしてる人たちが、それを忘れられる笑いを、作れればと思ってやってますけども。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

苦悩を楽しむ

まあ、スムーズになにもかも行くより、いろんなことあったほうが楽しいのは楽しいねんけどな。

いろんなことが起こってしまうから、生きてるうえにおいてはな。

だから、そこをいかに楽しめるか。

それだけやな。

「苦悩」を楽しめるように、もっとなりたい。

他の人よりはかなり楽しめてるんやけど。

――確実にそうですね(笑)

せやろ(笑)

――そこが天才的なところかと(笑)

そこは人よりも力は付けてると思うんでね。

嫌なことを楽しみに変えられるのは。

引用元:NETFLIX『人間・明石家さんま。』(2017年12月配信)

さんまからジュニアへのプレゼント

『千原ジュニア40歳LIVE』に明石家さんまがサプライズ出演。2人のフリートークとなった舞台で。

ジュニア:あの、僕ホントに、さんまさんにちゃんとお礼を言わなあかんなっていう…

さんま:なにを?

ジュニア:まずですね、僕がバイクで事故って、顔面グチャグチャで、もうこの世界辞めようと思ってたんです。

さんま:うん。

ジュニア:ほんとは27歳の時にもう辞めて、放送作家をやらしてもらいたい、そうしよう、と思ってるときに、たぶんこいつ辞めるつもりやなと思ってくれはった東野幸治さんが、しょっちゅう見舞いに来てくれはって、「おいジュニア、おもろいビデオテープ見つけたから、これおまえ見ろ!」って置いて行かれたんです。そのビデオテープっていうのが、『パペポTV』っていう上岡龍太郎師匠と鶴瓶師匠がやられてるトーク番組で、それが上岡さんが引退されるんで最終回の、ノー編集のテープを読売テレビから入手したもんなんです。そんで僕それを見たんです。1時間ぐらい2人が喋られて、ほんでその後ホンマの隠しで「ゲスト来てくれてます、どうぞ!」って紳助師匠が出て来はって。

さんま:言うたらあかんねん! その名前!

ジュニア:大丈夫です(笑)「島田紳助さん」大丈夫です(笑)

さんま:あ、ええのか(笑)

ジュニア:はい(笑)そっから紳助師匠が1時間ウワー喋って爆笑に次ぐ爆笑、後半ちょっとええ話なんかもされて。そん次に「実はもう1人呼んでます。どうぞ!」って言ったら寛平師匠と村上ショージさんといっしょにさんまさんが出てきて。そっから1時間半、爆笑に次ぐ爆笑で、ほんで「やっぱりおれ芸人になってこっちへ戻りたい!」って思ったんです。

さんま:(笑)

ジュニア:ほんでおれ手術もしてリハビリもして、戻って。で、戻ってすぐぐらいに『さんまのまんま』に呼んでいただいて。その終わりで「おいおまえ、見舞い行かなくて悪かったなあ」って言って。「いえいえ」「おまえなにが欲しいねん」て言われたんで、僕もねジョークで「レギュラーです」って。

さんま:まあこの話よく言うてくれてるけどもやな。

ジュニア:ほんであるTV局歩いてたら、あるスタッフから「ジュニアさんありがとうございました!」「なんですか?」って。実はさんまさんに深夜番組をやってほしくてずっとお願いしてたけど、やらへんて断られてて。今回行って断られたらもうあきらめようと思って行ったら、『おう、それやるわ。ただしひとつ条件がある。千原兄弟レギュラーにしたってくれ』って言って、レギュラー番組が始まったんですよ(会場から大拍手)なぜか無傷のせいじも付いてきたんですよ(笑)

さんま:あたりまえや、「千原兄弟で」言うてんやから(笑)

ジュニア:だからほんまにね、レギュラーいただいたんですよ(拍手)

さんま:なんかものすごく芸人のあいだでいい話に伝わってるんでおれは黙ってんねんけど、おまえらは力があるのに番組やってない、その力をいっしょにやりたいという、おれは実力として認めたレギュラーやねん、あれは。これホンマやねんで。

ジュニア:(深々とお辞儀しながら)ありがとうございます。

さんま:あれはもうほんとに、いい話でもなんでもないねん。

ジュニア:いえいえ、「お見舞いや」言うてレギュラーもらったんですから。

引用元:『千原ジュニア40歳LIVE』2014年3月30日公演

37歳で8億の借金

さんま:でもやっぱり事故に遭うてよかったよ、おまえ。

ジュニア:そうすか(笑)

さんま:いやいや、ほんと優しくなったしね、人に対して。そういうのは非常にいいよね、ああいうことがあると。

ジュニア:さんまさんで言うとすげー印象深いのは、3年前、おれが37歳のときにさんまさんの番組を、おれちょっとサブみたいなのやらせてもろたんですよ。そのときに、「さんまさん、37歳のときなにしてはったんですか?」って訊いたら、「あー、借金8億あったときやなあ」って。37ですよ!? 37で8億の借金を背負えることが、どれだけスゴいことか。スゴいっすよねえ。

さんま:スゴくない(笑)あれはもうバブルという悪魔が単にはじけたゆうだけのことやから。

ジュニア:いやいやいや、今のお笑い界見たら37なんてひな壇座ってる芸人ぐらいですよ。

さんま:われわれは時代的にもものすごい少ない人数で、テレビ的にも運のいい時代に育っただけで。おれはもうそのときは、死ぬか喋るかの二択やったからな(笑)

ジュニア:カッコええな~(笑)

さんま:でもこれは楽やった。

ジュニア:え?

さんま:バイトとか一生懸命、どうのこうのしようって思わない。二択やから。もう自殺するか喋るかしか残ってない(笑)だれでも喋るやろ。そうしかなかった。だからよく、声が出ない夢見て起きんの。

ジュニア:ええっ。

さんま:夢の中で、声が出ない。はあっ!って。もう何億もなるとどうしようもないやん。新聞どんだけ配ったってなあ(笑)

ジュニア:そうですね(笑)

さんま:手えちぎれるやん(笑)いや、ほんとに。それやったんでな、楽というか、いま振り返ったらね。あの頃は「おまえ借金あるのに陽気に喋って。ウソやろ?」ってよう言われたけど、もう超えたら、笑うしかないねん。2千万3千万やったら、なんとかしよう、あっちで借りよう、とか思うけどね、もう億とつくと、どうすることもできない(笑)ただ番組が何本かレギュラーがあったんで、もしかしたらいけるかも、と思っただけ。

ジュニア:へーっ。

さんま:ただ声の出ない夢を何度も見た後、次はパントマイムで笑わしてる夢を見たな(笑)おれ、夢の中でパントマイムすごい上手いねん。ただ、起きてやったらできひんねん(笑)

ジュニア:夢の中ではねえ(笑)

さんま:夢の中では達人みたいにこんなことやってんのやけど。なのに起きたらできないっていう夢に変わっていったっていうのが37歳の頃でしたねえ。

引用元:『千原ジュニア40歳LIVE』2014年3月30日公演

『オレたちひょうきん族』秘話

ジュニア:もう40年ぐらいですね、テレビ出てるの。

さんま:そやな、40年弱。二十歳のときがデビューやったと思うけども。

ジュニア:へーっ。それどうなんすか? どっかで「おれもうあかんかも」みたいなときは1回もないんですか。

さんま:いや、疲れてくんねん。

ジュニア:ほう。

さんま:初めは「すぐ終わるやろ」と思って。あのときは「バラエティ2年説」やったの。バラエティ番組なんて2年間やれれば御の字っていう時代。だから、2年ぐらいテレビ出たいなっていうだけやった。そんで、2年、3年、4年、あれ? まだいけるの? もう5年? ていう話。ほんで『笑ってる場合ですよ』始まって、『いいとも』始まって、『ひょうきん族』が始まって、それが26歳やね。

ジュニア:あれホンマなんですか、『ひょうきん族』のブラックデビルがもともとは高田純次さんやったって。

さんま:高田純次さん2週やってはったよ。ほんでおれは「ひょうきんベストテン」の司会とニュースのコーナーをやってたの。

ジュニア:はい。

さんま:ほんで高田純次さんがおたふく風邪になりはって、スタジオに残ってるのがさんましかいてないってなって、出てくれって言われて。

ジュニア:はい。

さんま:ほんでブラックデビルの「エィッ」ていうのあるでしょ。その前の漫談で、おれは仮面ライダーのショッカーの役が来た、それでセリフが「エィッ」だけでしたっていうネタがあって。それを、どうせ代役やし遊びで「エィッ」っていうのをやったら、スタッフが「面白い!」ってなって、高田純次さんに言うて交代して。でもそうなるとおれもう全コーナーになるねん。そんで一番ギャラ安いねん。そんなバカなことないやろ。

ジュニア:あ、そうなんすか。

さんま:そんでたけしさんが、「さんま、おまえいくら貰ってんだ?」っていう話になって。おれがこれこれですよ言うたら「そう」言うて、スタッフに「さんまのギャラ上げてあげて」って言うて。でも、よしもとはバーターで、全員でいくらっていうギャラやから。そうなったら先輩のほうに多く振り込まれるわけやから。ほんで「さんまはあんなに頑張ってるんだから、さんまにギャラ振り込んであげて」って言って、構成作家の名前で、別ギャラ振り込んでもうてたんや。そうたけしさんに言っていただいて。

ジュニア:へえーっ! すげえ話。

引用元:『千原ジュニア40歳LIVE』2014年3月30日公演

排水口が喋る

さんま:3年か5年に1回ぐらい、やめようかな、疲れたなっていう、しんどいなっていう。疲れたときって、あの、排水口が喋ったように聞こえるの。

ジュニア:はい?(笑)

さんま:おれね、ホンマに去年疲れてて、「疲れたなあ。明日もまた6時かあ」と思って風呂の湯抜いてた最後の最後にな、「おつかれさまでした」って。

ジュニア:(笑)

さんま:「あっ、おつかれした!」って、返事した日があんねん(笑)

ジュニア:疲れてますねえ(笑)

さんま:せやろ(笑)おれな、あれビックリしたの。「おつかれさまでした」って(笑)その排水口はね、水の量なのか、何の具合なのか、たまに言葉喋りよる(笑)

ジュニア:その疲れが5年に1回あるんですか?

さんま:だいたい5年に1回、疲れと、飽きてくるっていうのと。繰り返して。だから朝起きて、現場に行くのは嫌やなあとか、思ったりしながら暮らしてきた。

ジュニア:全然わかんないですよ。もちろんでしょうけど。

さんま:でも現場に来たらやな、あれやけども。おれら勝手に背負ってるやんか、勝手に。なんにも背負えって言われてないのに、勝手になんかスタッフの家族まで背負ってたりとか。だから、そういうのがあるから、疲れるな。事務所もあるし、その従業員の人もいらっしゃるし。ここで辞めたら、この人どうして食べて行きはんねやろ、とか。もうそんなんがイヤ、背負う物が。

引用元:『千原ジュニア40歳LIVE』2014年3月30日公演

34年ぶりのテレビ東京出演

テレビ東京『出川哲郎の充電させてもらえませんか?SP』に明石家さんまがサプライズゲストとして山形県の団子屋さんに身を潜めて登場。聞かされていなかった出川は驚きと喜びで動転する。実は明石家さんまがテレビ東京の番組に出演するのは34年ぶりでもある。

出川:(出会って早々、ロケそっちのけでさんまと記念写真を撮りながら)いやぁもう、おれもうホンット嬉しいわ、マジで。この団子もう食べられたんですか?

さんま:食べた形跡ないやろ。食べる余裕もなく、おまえ来るまでずーっと地元のみなさんと写真撮ってたわ。

出川:ごめんなさい、ごめんなさい(周囲の人だかりを見ながら)さんまさんが待ってたらそりゃみんなビビりますよねぇ。

さんま:もうホテルで待機、バイクの練習させられ。6時12分の新幹線や。

出川:バイクの練習もですか!? いやいや、ありえない、ありえない、ちょっと。ちゅうか、リアルな話、なんでこんな遠いのに「ええで」って言ってくれたんですか?

さんま:いや出川の頼みやからやなあ。「出るよ」言うたら「山形になりますけど」言うてやな。えっ? 「イヤだ」って言えたん?

出川:あたりまえじゃないですか! あなた、誰だと思ってるんですか!?

さんま:いや、イヤだって言えないやろ、引き受けてオファー来た場合。それやったらもっと早く言うてくれよ。

出川:(スタッフに)いや、ほんと凄いですよ。あのね、おべっかでもなんでもなく、この人はハートで動く人なんですよ。

さんま:(笑)

出川:スゴいでしょ? だってこの番組出たって、なにひとつメリットないんすよ(笑)1ミリもメリットないのに。

さんま:まあ今日手ごたえあったらまた来るけどもやな。

出川:さんまさんっ!! ちょっと、ほんとにちょっと、お願いします!!

引用元:『出川哲郎の充電させてもらえませんか?SP』2018年7月14日放送回

さんまがテレビ東京に出なかった理由

すでに都市伝説と化した「明石家さんまがテレビ東京に出ない理由」について、その真相を確かめるべく出川哲郎が斬り込む。

出川:さんまさん、テレビ東京に出なくなった理由とか話せるんですか?

さんま:昔『サタデーナイトショー』っていう番組をやってたのよ。

出川:はい。

さんま:深夜番組やねんけど、テレ東でトップになったのよ、数字が。それで「10年、20年続きますように。よろしくお願いします。カンパーイ!」言うた1週間後に、打ち切りが決まってん。

出川:ええーっ!? なんでですか?

さんま:それちょっとお色気番組やったから、エラいさんの奥さんが「テレ東として恥ずかしい」って言うて。これがテレ東の看板になったらアカンいうことで。数字が良くって打ち切りになるって、おれもうホントにショックで。それでテレ東にはもう出えへんていう話になって、こうして出なくなってん。

出川:半分都市伝説になってて、どこまでホントなのかなと思ってたら、ホントだったんですね。

引用元:『出川哲郎の充電させてもらえませんか?SP』2018年7月14日放送回

今が旬の芸人に厳しい一言

『ぐるナイ』にさんまがゲスト出演。今が旬の人気芸人ひょっこりはんが出てきて、いつものひょっこりネタを披露した後で、厳しくも愛情を感じる一言。

羽鳥:さんまさん、ひょっこりはんのネタはいかがでしたか?

さんま:「ひょっこり!」って言ってもう、拍手に変わってきてるから。もう、ギャグの終息を迎えてますね(笑)

岡村:ちょっと音楽でもすったもんだあったからな(笑)

さんま:今はええねんまだ、拍手しながら笑顔やから、客席が。

ひょっこりはん:はい。

さんま:それがもう、拍手だけで笑顔もなくなんねん。「またや」とか言いながら。

ひょっこりはん:「また」?(苦笑)

さんま:笑顔で拍手、まではまだいけるのよ。

ひょっこりはん:次、考えないとダメですね。

さんま:もう、続ける勇気か、やめる勇気か。

岡村:うわー、なるほど。ふたつにひとつやって。どうする?

ひょっこりはん:続けるよ!!

さんま:ワーオ!!(笑)

引用元:『ぐるぐるナインティナイン』2018年7月19日放送回

演技のコツ

Sexy Zone中島健人が明石家さんまに訊いてみたいことがあると言う。

中島:普段プライベートでもドラマでもたくさんのラブストーリーを経験してきたと思うんですけど。

さんま:その通り。うん。ま、中にはサスペンスもあったで(笑)

中島:僕、いま映画の撮影でラブストーリーをやってるんですけど、ラブストーリーをやるうえにおいての大切なことをちょっとさんまさんに。

さんま:まあ、監督にもよるやろけども、おれが気をつけてたのはやな、監督が「見つめ合ってください」って言って、見つめ合う芝居が多かったんですよ。でもおれは(目線を)外したんですよ。

中島:外す?

さんま:逆に、照れて外すっていうチョイスしたら、プロデューサーに驚いていただいた。

全員:へえーっ。

岡村:あと、利き手じゃない方でいろいろやるほうが可愛く映るってさんまさんが言うてはった。

さんま:水飲むときもこう(右手で)飲むよりも、おまえはどっちか知らんけど、左でこう飲んだ方が可愛く映んねん。動きも大きくなるし。

中島:ちょっとアンバランスな感じが魅力的に映るってことですか。

さんま:そう、可愛く見えるらしいね。あと鍵開けるときとかな。

中島:部屋の鍵とか?

さんま:そうそう。

中島:心の鍵じゃなくて?

さんま:いいね!(笑)

引用元:『ぐるぐるナインティナイン』2018年7月19日放送回

ナイナイ矢部がさんまに訊いてみたいこと

矢部:お笑い芸人の数がめちゃくちゃ多いじゃないですか、今。

さんま:そやな。

矢部:長いことやられてて、さんまさんの中で危機感というか、「あっ、こいつすごいな」っていう後輩は今までいたのかな、っていう。

さんま:あ、全員。全員おれに危機感を持たしてくれてるよ。もちろんおまえらもそやし。羽鳥君もそやろ? 若いアナウンサーや、桝くんとか出てきたり、やっぱり「すごいな」とか「負けるんじゃないか、おれは」とか思って生きてるやろ?

羽鳥:そう思って生きてます(笑)

さんま:だから、みんな良いもの持ってるし、負けないでおきたいなと思って。負けてるやろけど、自分では勝ってるつもりで生きてる。

矢部:ああ、カッコええ答えや。

さんま:そうか!? そう?(笑)

渡辺直美:カッコ良かったです。

さんま:(スタッフに)あとでオンリー(声のみ)録るか?(笑)

岡村:録れてます、思いっきり録れてます(笑)大丈夫です。

引用元:『ぐるぐるナインティナイン』2018年7月19日放送回

願い事

さんまの誕生日ということでケーキが出てくると、さんまは手を組んで祈るようにしながらローソクを吹き消す。それに渡辺直美が気づくと、

さんま:いや、消す前にお願い事すんねんで。日本てあんまりしないけど。

渡辺:あ、そうなんですか? お願い事するんですか?

さんま:そうやで、お願い事してから消さなあかんねんで。

矢部:なにをお願いしたんですか?

さんま:「願い事がなくなりますように」。

渡辺:うわっ、カッコいい~(笑)

引用元:『ぐるぐるナインティナイン』2018年7月19日放送回

信楽焼

岡村からさんまへのバースデープレゼントは、特注で高価な、さんまの顔をしたタヌキの信楽焼の置物。

さんま:うわっ。なにしたおまえ。信楽焼で作ってくれたんか。

岡村:そうです。さんまさんが、この信楽焼に興味があって、引退したらお世話になった人みんなに作って配りたいっておっしゃってたんで。

さんま:そうなんですよ。将来、お世話になった人に信楽焼を、だから第1号はたけしさん、第2号はタモリさん、第3号は所さんて決めてんねけども。

全員:へーっ。

さんま:岡村は86番目ぐらい。

岡村:全然大丈夫です(笑)85番目かな、と思ってたんですけど86でしたか。

さんま:85番目は鶴瓶さんや。

岡村:ええっ、低っ!(笑)

さんま:こないだまであげんとこ思てたから(笑)

引用元:『ぐるぐるナインティナイン』2018年7月19日放送回

ビートたけしが「かなわないと思った」と語る

『1番だけが知っている』の特別企画「明石家さんま60分の本気インタビュー」より。

初めに、前回放送時にビートたけしがさんまについて語ったVTRを、さんま自身に見てもらう。

「かなわないと思った芸人は?」の質問にたけしは迷わずさんまの名を挙げ、そのアドリブのうまさやミスを笑いに変える巧さなどを語り、とてもかなわないから『ひょうきん族』では自分がツッコミに回るしかないと思った、と告白するたけし。その映像を真剣な表情で見つめるさんまに「たけしの言葉を聞いてどう思うか?」と尋ねる。

さんま:いや、もう感動ですよ、ああいうことをおっしゃっていただくってのは。いろんな評論家とか、いろんなマスコミの人たちがおれのことを語ったりしてくれてますけども、「もう、これでいいか」って思える、「これ言ってくれたらもう芸能生活いいか」って思える人に言っていただいたので。

やっぱりそういう、タモリさんにしてもそうだし、所さんにしても、「さんちゃん、おもしろーい」って言ってくれるだけで、どんな人に言われるよりこの3人に言われる凄さ、まあ、気を使ってみんな言ってくれてるんだと思うけども、やっぱりすごい嬉しいですよね。もう、素人の批判は気にしなくなる。うん。だから、たけしさんにこうして言っていただけるだけで「おれの芸能生活、成立」って思うぐらい、凄いコメントですよ。ウソでもね。おれに対するサービスだとしても、おれにとって貴重なVTRになってるのは確かです。

たけしさんはおそらく、後ろを振り返りながら「おまえが1番だよ」って言ってるだけのことだと思うんですけども、まだお笑い芸人たけしさんの顔は見たことがない。背中を見続けて今日も来てる。それを言いに来たんで、以上でいいですか(笑)

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

ビートたけしの凄さ

――これ、『1番だけが知っている』って番組ですけども、さんまさんだからこそわかる、たけしさんの凄さってなんですか?

さんま:いや、そんなの説明する必要ないでしょ。それね、昔、ベッカムがレアル・マドリード行ったときに、インタビュアーにそういう君みたいなやつがおって(笑)、ベッカムに「ジダンをどう思いますか」って訊きよったんな。ほなベッカムがゲラゲラ笑ろて、「おい、ジダンどう思いますか? って訊いてるよ、このバカが」っていう(笑)、サッカー番組やないけど、それとおんなじ気持ち。たけしさんを、おれに聞く!? 見りゃわかるでしょ!?(笑)なにもかも、凄い才能を持って、まあ、優しさっていう武器を持ってらっしゃるのが、うらやましかったりもしますね。それは感じます、うん。

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

たけしと闘った命がけの日々

さんま:ま、これは今だからこそ話せるんですけども、おれが『ひょうきん族』で「うなぎ」やったときに、着ぐるみをウレタンで作ってるんですけども、ウレタンが燃えやすいのと、水を吸うととんでもなく重たくなるっていうのを後のタレントたちに命をかけて伝えたのはこの2人ですね(笑)

うなぎのときに、ウレタンがどんどん水を吸って、背中に竹があって、ウレタンの重さで背骨が音立てたんですよ、ミシミシって。おれはうなぎの中から、たけしさんに真剣に「アカン…」って言うて。「なにが、『アカン』だこの野郎!」ってたけしさんが言うて、本番やから。「ホンマにアカン…」って言うたら、「なにがホンマにアカン、だ。京都の女みたいなこと言いやがって!」「ウチ、ホンマにアカン…」って、一応苦しくても乗るねんな、その言葉に(笑)でもミシミシミシミシって、「これ背骨いってまうな」と思って、「北野さん、本当にダメですから」って本名を言うて、「あ、ホントか!?」って言うて、命を助かったことがあります(笑)

すごいのは、あんだけ飛んだり、あんだけ高いところから落ちたり、高いところにへばりついたり、してるけども、『ひょうきん族』の8年間、2人ともケガしてないんやで。それはね、だれか評論家が絶賛してました、あの2人の運動能力が高いから、ケガなしでこれたって。確かにそう思う。お互いホント運動神経がいいんで、うん。笑いの神経もいいんで、ああやって成立したと、思いますね。

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

たけしが絶賛したネタ

さんま:(タケちゃんまんの敵役の)「サラリーマン」という幻のキャラがあるんですよ。たけしさんが「『サラリーマン』てホント面白かったよなあ」って、去年かな、会うたときに、なんか突然たけしさんが言ってくれたんで。

3週しかやってないんですよ。たけしさんに給料明細見せるだけの攻撃なんですけども(笑)ほんで居酒屋に連れて行って愚痴をずっと言うっていう「攻撃」なんですよ(笑)

「おまえはいいなあ」とか。「おれの給料見てみろ」とか、「うちの会社はこうでよぉ」とか。「タモリさぁ」「たけしだよ!」とか言うて(笑)

出世をあきらめたサラリーマンが一番怖い、って、なんか自分で言うのもなんやけども、すっごい面白いやん(笑)

終わってもう30年近く経つか、もう今の若い子は『ひょうきん族』のことなんてほとんど知らないんで。ビッグ3と言っても誰も知らないから、自ら言ってしまってるんですけども(笑)こないだ、今田耕司から注意されたんですけども、「ビッグ3って言うてるのさんまさんだけですよ。タモリさんもたけしさんも言うてませんよ」って(笑)そう言われてすっごい恥ずかしい気持ちになったのはありますけども。

やっぱり僕がいちばん年が若かったから、たけしさんより8才下やし、タモリさんからは10才も下やったんで、だから、それだけの中に入れる凄さ、嬉しさっていうのは、今でもありますね。ひとり若くして入れていただいたっていうのは、それは凄い嬉しい。この二人の中に入れてるので。もう何もいらないと思うけども、欲張ってしまう。人は悲し(笑)だから「出世をあきらめたお笑い芸人」やりたいよ(笑)

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

国民的人気番組終了の真相

――『ひょうきん族』の終わりはさんまさんに委ねられたって聞いたんですけども…。

さんま:えっ、なんで知ってんの?

――ホントの話ですか?

さんま:えー、「どうする?」って話になって。たけしさんがもうその頃、『ひょうきん族』に飽きてらっしゃったのか、来ない時期があって、最後の言い訳が、「なんで先週来まへんでしたの?」「いや、お化けが出るんだよ」って。わけわからへんやろ? 40過ぎのおっさんが(笑)あ、そらよほど来る気ないねんなねっていう。

楽屋も『ひょうきん族』っていう番組に対しての情熱がどんどん薄れてきて、今まで楽屋で「このシーンどうしよう?」ばっかり喋ってたんですね。そんな打ち合わせばっかりだったのが、株をやり始めた、国債がどうの、子供がどうのこうのとか、将来がどうのこうのとかいう話が多くなってきて。先輩なんかはとうとう薬の話をし出して、「今これ飲んでる」とか。

それ聞いてて、ほんでたけしさんがいなかったんで、そのときの横澤プロデューサーが、「さんまちゃん、どうする? やりたかったら続けられるけど、さんまちゃんに最後決めてほしい」って言われたんで、「皆こういう状態なんで、やめましょうか」っていうので、ああなったと思いますけども。まあ、ほっといても終わってたと思いますけどもね。でもまあ、早めたのは事実です。

タモリとさんまが警察に捕まった日

さんま:タモリさんと一度、(プライベートでの)2ショットがあるんですけども。タモリさんは近くに住んでたんで、「アルタまでの近道教えてやるよ。明日迎えに来い」って言われて。おれがいっつも車だったんで、タモリさんの家に迎えに行って。

ほんで世田谷からアルタまでの近道を教えてくれるので、行ったんですけども。

ガラガラやったんですけども、車線変更したらトンネルの向こうに警察がいて、ピピピーッて捕まったんですよ。

ほんで「すいません!『笑っていいとも』行かなあかんので、すいませんけどまた後で行きますので」って、許してもらえると思ったんですよ、安易に。

「ね? タモリさん、行かな遅刻ですよね?」って言ったら、「大丈夫だよ」って。あんな裏切りある?(笑)あの「いったんCM行きましょう」みたいなトーンですよ(笑)それがタモリさんとの唯一の2ショット。

あっ、そうそう、所さんとも2ショットある。所さんはなんせ車好きやから、飛ばさないかんと思って、飛ばしてブレーキかけ、飛ばしてブレーキかけ、飛ばしてブレーキかけ、ってやってたら途中で「さんちゃん、酔っちゃった~」言うて(笑)

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

たけしに頼まれれば、事務所も移籍する

――たけしさんが最近、独立されて新事務所TNゴンつくられましたよね。

さんま:はいはい。

――さんまさんが「入れてくれ」とお願いしたと。

さんま:(笑)あのね、おれもいまだにたけしさんの切り返した言葉が意味不明やねんけど、「な~、おれも入れてよぉ、TNゴンに」って言うたのよ。「やなこったい」って言われたんですよ。「やなこったい」っておかしいやろ? おれ入ったら潤うで(笑)

――たけしさんが「いいよ」って言ったら本当に入りますか?

さんま:あ、たけしさんが「頼むよ」って言ってくれたら入ってたと思う。「さんま頼むよ」ってもしたけしさんが頭下げた場合、それは断れないことやから。

――そうなんですか。

さんま:そらそやろ。ああいう人に「頼むよ」って言われたら、僕は断らないですけど。芸能界は大騒動になると思います(笑)よしもとが牙をむくかもわかれへんけど。よしもとの牙はそうたいしたことないですけど。ほとんど差し歯ですから(笑)

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

たけしのひと言で番組を降板した話

たけしに頼まれたら断ることなんてありえないと語るさんまは、実際1994年に、たけしのひと言で、さんまは自分の番組を降板し、終わらせたという。

さんま:うん、たけしさんに頼まれたら。今まででも仕事でも、TBSさんには遠回しに迷惑かけたことがあります。『明石家多国籍軍』ていう、MBS制作なんですけども、TBSの枠で放送してて。

たけしさんが、「10月からコント番組やろうよ」って言わはったんですよ。それで「あ、そうですか」って。でもそれが『明石家多国籍軍』の裏だったんですね、実は。

それで、もうできないってなって、MBSさんに打ち切りを頼んで。向こうはもう「ちょっと待ってくれ」っていう話になって。

「いや、なんぼお願いされても、さけしさんが『やろうよ』と言ったことはおれ断れないんで、すまんけど4月で終わってくれ」と。たけしさんと番組やるんで、って大昔の話なんですけど。それで、やるってなって、たけしさんと口約束ですよ、おれと2人の。フジテレビにもなにも上がってないですよ。さんまとたけしが言えば枠は取るだろう、という安易な考えで(笑)

10月まで待ってたら、たけしさんがバイク事故で入院されて。復帰までかなり時間がかかったんで、その話は流れてしまい。それで、事故の影響なのか、そんな話をおれにしたことも忘れてらっしゃいました(笑)

おれはひとつの番組、スタッフが泣いて止めたのを断ったのに。その金返してくれって言ったことあります、本人に(笑)

そしたら次の年かなんかに、ガダルカナルタカが仕切っておれの誕生日パーティーを仲間でやってくれてるときに、たけしさんが花を持って、「誕生日おめでとうございます」って(笑)その「さんまちゃんへ たけしより」っていう花に付いてたカードは今でも家にあります。

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

たけしに引退勧告した話

さんまはたけしに、お互い引退しようと勧めたことがあるという。

さんま:こんな長い事この2人がテレビに出るっていうのは、テレビ的におかしなことやから。2人が辞めたほうが、テレビ界のためには、そうじゃないかって、たけしさんに言ったことがあるんですけども、ええ、上が抜けなければダメですから、って。そのときも「やなこったい」って言われました(笑)

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

沈むってわかる船に乗り込む戦友たち

――いまのたけしさんに言いたい事ってありますか?

さんま:今でも『27時間テレビ』の司会を引き受けるたけしさんは、素晴らしい。

だから、たけしさんもそうですけど、われわれ古い芸人は、沈むってわかっている船でも乗らなきゃいけない時があるんで。それに乗ってる、まあ、同じ兵士として、戦友として、ものすごく嬉しい。

まあ、おれたちの時代は、付き合った人たちを大事にしながら、あんまりテレビ業界で沈むってわかってる船に乗りたくないんですよね。われわれぐらいキャリアあると、「ああ、この船沈む」って番組の企画でわかったり、「すごいぞ、これは」って、ほぼ80%ぐらい、わかるんですよ。でも、それに乗るたけしさんは素晴らしいし、おれもなるべくそうするように今までも生きて来たし、あの時代の2人がそうしてるのは、非常に嬉しく思いますね。

これもそうやで、沈むってわかってる船やから(笑)ギリギリか。水が溜まるぐらいか(笑)こうしておれたちが水をかき出せば大丈夫な番組になるのか(笑)

そういうことですね。

たけしさんのあの言葉に対して、こっちが言いたいことを言える機会を与えていただいたんで、それで引き受けたんですけども。ええ。

たけしさんのほうが凄いよ、っていうことを言いたかったんで、出ましたけども。

引用元:『1番だけが知っているSP』2018年10月15日放送回

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